言いかけたその瞬間。スカルは血を吐き、膝をついた。苦しい。心臓の動きがあからさまにおかしくなっている

　そう言うと、デス＝シックルはスカルの目の前にて跪き、続けた

　スカルは言う通りに、指先を切ってその血をデス＝シックルの口に含ませた。するとデス＝シックルの身体が黒い光に包まれ——その光から「もう一度生まれた」。死を司る力をもって、主に絶対の忠誠を誓う「従者」が、そこにいた

　手をかざしたデス＝シックルの手から黒い魔力が鎌の形となり、スカルに向かう。しかしその鎌は身体を傷つけず、体内に侵入した

　グボッ、という音と共に、スカルの体内から怨念の塊のような赤黒いモノが取り出された。それと同時に、スカルの顔色はどんどんよくなっていく

"知らない方が幸せなのかもしれません"
仔犬はその言葉をぐっと飲み込んだ。
昔は感じなかった孤独と言う感情、手掛かりも無く、消息も不明な人を探し続ける苦悩。
そんな中から、ぽつりと吐き出しそうになった言葉を、仔犬は必死に飲み込んだ。

・・・今ならまだ、気の迷いで誤魔化せるから。
もし・・・その言葉を口に出してしまったら。
"自分の言葉"にしてしまったら。

・・・・主人から授かった沢山の物の、その全てを否定する事になってしまうから。

仔犬は、笑顔を作って笑って見せた。
その"裏"にある。"濃い影"の片鱗を、覆い隠すように。

　
　手をぶんぶんと振って「気にしないで」と

　
　生まれた場所が死の街になってると聞いて、気の毒に思ったのか、言葉を返せないでいる。

　
　なにやら黙ってしまったスカルの様子を窺うように

　

傍らの、少女の形を取ったエンブリオを眺めた。