忍耐は幸福という扉を解き放つ鍵。

　火の匂いだ。芳しい火の匂いが近く、確実　ある。
　三度の正直、炎のエンブリオとの契約。

　ボールダーにも火の魔力は含まれていたものの。
　添え物といって悪いがその程度のものだった。
　あとエンジェルと融合して　まい、おそらく彼の自我は残っていないだろう。申し訳ないことをした……。

　それと再び城内に挑む手筈も整った。
　もしかして、カマック殿たちと出会えたことで運が向いてきたのかな？
　だとすると、とても、とても嬉しい。

　ネイベール殿も仲間とこのように過ごしていたのだろうか。
　私にはてっきり縁のない旅路だと思っていたが、案外どうなるかわからないものだ。

　カマック殿の料理　美味しかったし、オオガミ殿はもっと料理を得手としているという。
　これは頼む他あるまい。
　気づいたら私が拾うものは、食材ばかりで腐らせていたのだし。

　え？　腐肉？　知らないな。

そう言って少女は、横に仮面の人物を置いて頭を二人へと下げた。

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・ まだらより！・-・-・-・-

笑顔で　釘を刺す。

一呼吸置いて、ナスルの別の話題に乗じる。

先程の不機嫌さは何処　ナスルって何歳？と笑顔を浮かべて尋ねている。
・・・気前よく料理や酒を振る舞う辞典亭の詳細が気になって、
楽しくなってきてしまったらしい…。

　拳を握りしめ、ナスルは軽やかに笑ってみせた。