産まれた時から壊れていた。

失敗作だった私には、他の姉妹のような記号めいた名前すら与えられることはなかった。
親の顔など知る由もない。物心ついた時にはもう、棄てられていたからだ。

そのことを恨んでいるわけではない……と言い切ってしまえば嘘になる。
しかし皮肉にも、棄てられたからこそ私が他の姉妹より長生きできているということもまた事実なのだ。
もっとも、今の私が生きていると言えるのかは、私自身にもわからないことなのだが。

消えたくない。それが私の初めての欲であり、生きる根源だった。



——夢の途中で目が覚めた。
呼吸は荒く、激しい動悸に身体が震える。
初夢は、珍しくもない悪夢だった。
「ははっ……」
私には、縁起の良さなんて全く縁がないらしい。

今この場に誰もいないことに、心から安堵を覚える。
枕元を見ると、外界の時を知らせる砂時計が、今がまだ夜であると告げてきた。

再び横になるも、一度去った眠気はなかなか訪れそうにない。
常夜の世界の眠れぬ夜を、偽りの月が仄かに照らす。
私の夜明けはまだ遠い。

そういうと、ラーフィーはこっくりさんの尻尾に向かって飛び込んだ！！