我は全であり、私は個である

我は不変であり、私は変化である

我は血の契約を交わし、私はお前と共に行こう



私はお前の盾であり、剣である
お前は私の盾であり、剣である



私は火の山【volcan】
その力を欲するならば、血の契約を交わそう








お前が私を戦友（とも）と呼ぶなら
私もお前を戦友（とも）と呼ぼう


お前が私を裏切らぬ限り
私がお前を食い尽くさぬ限り












エンブリオとの契約と、仕事での契約は似ている気がする。
俺の血を対価に力を。
金を対価に俺の力を。



今日はアーシェ達との契約最終日だ。
最後はまじめにがんばるか。

（なんかちがう）

問いに少しだけ目を伏せて、しばし沈黙。

目は合っている…筈なのに、遠くを見ているようにも見えるかもしれない。

手をぱたぱたと振って、前足を擦り合わせる。
別人のような声を吐き出している自身は、言葉を聞いてやや恥ずかしそうに

綺麗に整った巻き毛が珍しくぼさぼさに乱れる！
普段はお湯程度の熱量が、燃え盛る炎のそれにまで上りつめた。

少し目を逸らしながら襟を正す。

目の際だと痛そうだな、と言いながら、傷口を検めるように指でなぞろうとして、
それが人の顔だとふと思い出したように、途中で指をひっこめた。

印象を尋ねられて、困ったように首を傾げた。

そこではた、と言葉の足りないところに気付いたようで。

厄介なもんだよ、と苦い表情を浮かべてみせる。

首根っこを掴まれ手足をバタバタさせている。

蛇を蹴り上げられて逃がしてしまうが、
自分はヴァルから距離を取って振り返る。

コロは放り出されるとべちゃっと地面に落ちるが、すぐにガバッと起き出して、
持っていた無線機のアンテナを、背を向けたヴァルの尻に向かって突き出す！

画面を停止して録画を再生すると、
ぱっと切り替わった画面の中にはヴァルの行動がそのまま映っている。

多少つっかえたが、ヴァルの変わらない口調に乗るようにして、話した。

　雇い主に対する軽口は芳しくないと戒める様子のナスルであった。　

いつかユキナにもそうしたように、ヴァルを一度強く抱き締めて、離れる。

　
大礼拝堂から激闘の音が響いている。