「ふう…相変わらず砂地は熱が籠もりますね…」

枯れた土地。
生息するエンブリオの影響か大地は砂と化し、照りつける太陽は容赦なく降り注ぐ。
大廊下での臨時パーティを終わらせた私は、日差し対策にマフラーを頭巾のように巻いて仲間との集合地点へと向かっていた。

「えーっと…これがここで…あれ、ですね。」

地図を見比べ、目の前の廃墟が集合地点なのを確認する…と、同時に。

「…あれは？」

かすかな違和感を覚え、岩陰に隠れ廃墟の方をじっ…と見つめる。
よくよく見てみると日陰に何かが身を潜めている。

「…先にみんなが付いたのか…それとも王国軍の兵士か…人狩りか…」

静かにつぶやくと風下に回りこみ廃墟へと近づく。
気配は…丁度曲がり角の向こう側、私は柄を握る右手に力を込める…と。

『—誰かと思えばルアさんでしたか。』

声と同時に曲がり角に意識を向けていた私の首筋に杖が押し当てられる。
途端に冷や汗がドッと流れだし心臓が早鐘を打つ、体は硬直して動かず明確な死のビジョンが脳裏に浮かぶ。

「…ど、泥棒犬…さん。」
「気配に集中するのはいいですが周囲も警戒しないといけませんね。」

そう言うと泥棒犬さんは杖を下げる…と、同時に私はその場にへたり込んでしまう。
緊張の糸が途切れ立ち上がることができない。

「…そう、ですね…ありがとうございます。」
「いえ、筋はよかったですよ、日々の鍛錬がなければあそこまでは動けませんよ。」

私は差し伸べられた手をとり立ち上がる、膝に付いた砂を払うと泥棒犬さんへと向き直り。

「いえ…でもまだまだです。もっともっと強くならないと…私は…」
「まあ、それも道でしょうね。ですが最近のルアさんは何か勘違いしてはいませんか？」
「……はい？」

意表を突かれ、私は固まってしまう。

「…最近のルアさんは、『強くなること』が最終目的になっていませんか？」
「…っ！」

反論できない、言葉に詰まる私に泥棒犬さんは言葉を続ける。

「それがルアさんの言うところの『剣の道』ならば私は止めませんし修羅になるのもいいでしょう。決めるのは…ルアさんです。」

そう言い残すと泥棒犬さんはその場を離れ野営の準備を始める。
私は追いかけることも声をかけることもできず、呆然とその場に立ち尽くしていた。

急に謝られたので、慌てて止めます。

蜘蛛も、ヒトに害を為したくて生きているわけではないですから、と、ふぉろーを。

大きいのはアムル的にもあんまり可愛くない模様。

ぎゅっ、とその手を握ってみたり。

最早招来の舞というより、好き勝手に羅列しているだけのように思えるけれど、
本人は至って真面目な上に、乗り気だった。ぴょんこ、ぴょんこ。