久々に供される糧に、それは満足していた。

そこは遠い深淵。遥か昔に打ち捨てられた旧い神々の都。
もはや人の手には届かぬ、しかし再び忠実なしもべが舞い戻ることを待ち望み眠る虚ろの都。

それは、そこで静かに身を潜めていた。


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導線から随時流れ込む『養分』が心地良い。
かつての飼い犬に噛まれた事は不覚であったが、かえって事態は好転した。
新しい契約者は、以前より忠実に、我に仕える様子を見せ始めたのだから。

神の眷属であり、その分身である我の肉体など、いくらでも替えは効く。まして仮初の肉体ならば、なおさらだ。
だが、神より分かたれた我の魂はそうもいかない。
神の一部でもあるそれは神聖不可侵。何者にも侵されてはならない。

忌々しきは、かの裏切り者。
神代に我ら眷属の座から離反したのみならず、同族喰らいの罪を犯し続ける不倶戴天の敵。
やはり、抜け抜けと我の前に再び姿を見せた時に始末してしまうべきであった。

いずれにせよ、今は雌伏の時。
意図せずして芽吹いた種を、ゆるりと育ててやるには丁度良い。

旧きしもべの一族の血、そう簡単に絶やさせてなるものか…

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遥か南海の海の底。
かつてそこには神々の都があったという。

今や住まう者なきその都には、黄金の玉座にて深き夢を見続ける大いなる神が在るのみとも。

深淵は呼び続ける。
都に再び繁栄を。神に仕えるしもべ達の回帰を。

まだらは手をワキワキと動かしている。

イシュメールは息荒く一気にまくしたてると、腕を大きく横に振り払う。
そして、顔を背けたネイを憎々しく睨みつけると、背を向け地面を蹴りつけた。

>>ホットロッド

>>まだら

>>イシュメール

イシュメールは銛を構え、敵の動きを目と気配で追った。