ネイベールはほくそ笑みながら、荷物から一つのランプを取り出し、
ゆっくり火を灯した…。

まだらは手をワキワキと動かしている。

イシュメールは息荒く一気にまくしたてると、腕を大きく横に振り払う。
そして、顔を背けたネイを憎々しく睨みつけると、背を向け地面を蹴りつけた。

>>ホットロッド

>>まだら

>>イシュメール

ネイベールの内心も露知らず、彼女は先行するように歩き出す。
拒否しなければ、迷わないように軽くだが手を引かれるだろう。

そうして、近くの路地に入り、僅かに喧騒が減った所で歩きながら会話する。

所々で、上や付近を見回して曲がろうとした道を進まずに
変わった看板や目につく変化のある場所で曲がっていくのは彼女なりの配慮だろうか。

数度曲がった先に、『隠れ家』チックな店が見える。

……道を少し塞ぐ勢いで看板とメニューが出ているのを見ると、
　　　此処に構えたのは何かしら不本意なものだったのだろうか？

・・・

店内に入れば、ラフな格好の客が多く「地元民」の店といった風体だ。
聞こえる会話も　「今日は○○が安い」だとか、「××で窃盗があった」だとか。
「南から□□が輸入されてくるらしい」だとか「△△で新商品が出るらしい」だとか。
酒が少しながら入って口から情報が漏れでていく様は、見るものによってはこの上ない宝だろう。

座った机は綺麗に磨き上げられ、置かれたグラスも傷が見えない。
カウンターの奥、チラと見えた無骨そうな店主とは何処かちぐはぐ印象を受けるくらいに綺麗だ。


ちなみに、ランチセットは「丼もの」だった。
見るものが見れば——とある世界の出身者なら、『ロコモコ丼だこれ』と言うかもしれない。

イシュメールは銛を構え、敵の動きを目と気配で追った。