「メーンボディ修復の素材があつまりました」

「たくあん」

「爆散したボディパーツ」

「詳細不明の髪の毛」

「認証不明の羽」

「想いの篭められた藁」

「巨大烏賊の屍骸」

「碌なものがない」

「碌なものがない」

「だがそれで充分だと言える」

「この娘にはそれで充分だと言える」

「所詮それで充分だと言える」

「所詮、所詮」

「さて、では次は何時に逢おう？」

「雷光」

「稲光」

「雨が降るその前夜？」

「大騒ぎが落ち着けば」

「敗れて」

「勝ったその後に」

「日没には気をつけろ」

「場所は？」

「荒野」

「霧の深いあの荒野」

・
・
・

「CHG00-Type.Hatrederのボディ修復、及び再構築を開始します」

「再構築に要する時間は、22時間18分です」

「この作業では、ＡＩ【ADAMALICE】のアップデートも同時に行われます」

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「現在のパラメータを表示します」








「ＡＩ【ADAMALICE】のアップデート条件が整いました」

「……」

「１１２エラー」

「ＡＩ【ADAMALICE】のアップデートを行うには、CHG00-Type.Hatrederのメーンボディ及び、各種機能の保持が必要となります」

「このエラーを解決する為には、セルカークＦ管理下の元ただちにボディの修復を行ってください」

黙ってアエレアの言葉を全て聞き、イリスは小さく頷いてみせた。戸惑いも躊躇も、無い。

そうして行われた二人の戦いの結果は……引き分けに終わる事となる——。

夢と言うか、将来的な目標？　義務？　と少し曖昧に言いました

そういって少し考えてから

　アエリアの説明の間、クリスは一度たりとも口をはさまずに彼女をじっと見つめていた。
　質問で締めくくられたそれが終わった後も、数瞬の間、
　「目」は微動だにせずにアエリアを捉えつづける。

　漏れた言葉にすこし遅れて、クリスの瞳に有機的な灯が灯る。

　強調。
　意図的にその単語を選んだらしい。

　朗らかな笑顔を見せるクリス。
　だからこそ、そのなかに混じるわずかなノイズがつよい違和感を残した。