No.16 本INDEX >>
[設立者] ENo.16 文箭

コミュニティイラスト
本を読むのが好き!
本を蒐集するのが好き!
本を学問的に見るのが好き!
装丁や形が好き!
本というものが、とにかく大好き!
自キャラが本好き。ていうか本。

以上に一つでも当てはまったならば、是非ご参加下さい。
当コミュニティでは、本が好きな方を募集しております。
本のみならず、書物全般(巻物や帖のもの)、また非書物(手紙、古筆切、他)なども範囲に含みます。

条件に当てはまれば、PL、キャラクター問いません。お気軽にお越し下さい。
主張用としても御利用下さいませ。
(発言は、PL発言でもキャラクター発言でも、どちらでも構いません)

なお、大抵コミュ主が本の歴史や装丁、紙や墨に至るまで他、本にまつわったりまつわらなかったりな話をだらだらと喋っています。



参加者からのメッセージ

文箭(16) からのメッセージ >>
文箭 >>
さて、大変御待たせしました。すみません。
もう、何を話していたか、憶えていない方も多いとは思いますので、おさらいから始めようと思います。
文箭 >>
話は紙の事について、でした。紙の歴史は複雑で、厄介であるという事でしたね。
文箭 >>
一般的に、紙の発明は、蔡倫が105年に皇帝に上梓した事から、蔡倫が紙の祖であると思われがちです。
しかし、蔡倫を知っているのならば、それ以前に紙が作られていた事を知っていると同義でもあります。紙はいつ、誰が作ったか?それについて話したのが最後でした。
文箭 >>
学説は、現在のところ3つに大別をしています。
ざっと申し上げますと……
1,「後漢発明説」
2,「前漢発明説その1」
3,「前漢発明説その2」
このようになっています。この内、1は有力な文献があるものの、問題の文献が蔡倫の発明より後になり、矛盾が発生します。
文箭 >>
2と3は、『蔡倫以前に紙は存在し、蔡倫は発明者ではなく製紙術を集大成した者』として取り扱っています。
ちなみに105年は中国では後漢(東漢)にあたります。前漢(西漢)は紀元前ですね。
さて、2と3の違いですけれども、2は、蔡倫以前の紙には「絮(ジョ)紙」というものが使われていたと主張しています。
これは絹の紙であるとしており、原料は動物繊維です。
文箭 >>
では、前漢説その2である3番は?となると……。
こちらは発掘した大量の前漢古紙——つまり物証を根拠にして、前漢時代には既に植物繊維の紙があったと主張しています。
また、「絮紙」の存在を否定しています。また後で絮紙という単語は出てくるので、ここで否定された絮紙は、動物繊維のものと御理解下さい。
文箭 >>
今現在、中国ではこの前漢説その2が有力であると見られています。
しかし、前漢の紙が本当に書写用のものなのか?
「絮紙」の存在を否定するならば、文献にある蔡倫以前の紙と蔡侯紙の繋がりはどう説明するのか?
そこに疑問が残っています。
文箭 >>
これらについては、ここで結論を出す話ではありません。あいにくと、僕は製紙に詳しいわけではなく、また、こういった方面の学者との付き合いもありませんので……。
すべては、本から抜き出した知識です。
文箭 >>
以上がおさらいになります。ここから話す事は、新しい事で……同時に、紙の誕生に関する話の、最後になります。
文箭 >>
「紙」という文字と、その原料などの話を致しましょう。
紙は、実は3つの意味を内包しています。それは、次のようになります。
文箭 >>
1,絹の紙
2,絮の紙
3,帋(シ)
これらが紙のもつ意味です。
それでは、それぞれ説明していきましょうか。
なに、短い話ですよ。……3以外は。
文箭 >>
ええと……。
1はですね、有名な『後漢書』の蔡倫伝に次のようにありました。原文だと分かり辛いので、僕なりに言葉を置き換えて話しますね。

古来より、文書は竹簡(竹を切り、棒状にしたもの)に書いたものが多く、帛(ハク)——つまりはうす絹ですね。これに用いたものを紙といいます。

紙が誕生する以前、帛に書かれたもの——帛書が存在しています。
帛の歴史は古く、実は新石器時代に始まるとされています。殷代には甲骨文字の中に、「桑・蚕・糸」といった、絹織物に関する文字がありました。

紀元前450年あたり……中国の戦国時代には、帛は木竹簡と並ぶほど、書写用として重用されたとあります。現存している最古のものは、今は楚帛書が知られています。これはアメリカにて保存されていますよ。
およそ70年ちかく前に盗掘というかたちで出土致しました。
念入りに調査したところ、発見されたのは1942年の9月の事だったようです。

他に、漢代の帛書もありますよ。こちらは1973年12月に出土しています。御興味がありましたら、御尋ね下さい。幾許かの情報でしたら、僕の中にあります。
文箭 >>
あっとと……御喋りが過ぎました。2のに参りましょう。絮の紙についてですね。
文箭 >>
絮紙は、『設文解字』——最古の漢字字典だと思って下されば結構——によると、「紙、絮(屑真綿)簀也」とあります。
(編集の都合上、一部削除した箇所があります。正確な抜粋ではありません)
ここでいう紙は、真綿を再生するため、簀で濾したんですね。それで紙になっています。

絮紙は、文献上は面倒な立ち位置になっているのですけれども、「絹の絮の紙」と「麻の絮紙」があると思って下さい。
前者が動物繊維で、屑真綿の薄片。後者が植物繊維で、麻の薄片なんです。

簀を水の上に置いて、古真綿を敷き、棒で叩く・洗うなどの工程を何度も繰り返して作られました。
文箭 >>
3番目の紙である帋(シ)は、蔡侯紙ともいいます。これは植物繊維でできた紙ですね。これが、蔡倫が古い布などで作った紙です。
これまでは紙というと……列挙してきたとおり、いくつも種類がありました。
けれど、魏晋時代から蔡侯紙が普及するにつれて、帋と紙というものの区別が無くなって、すべて、「紙」と記されるようになったのです。
文箭 >>
ところで、中国において絹は上流階級の服で、平民は麻の服を着ていました。
……これだけ聞けば、先程まで説明していた絮紙がどのようにして生まれたかが、御分かりかと思います。
古着を捨てるのは、もったいないですよね?ですから、再生をしたのですよ。絮紙として。絹の紙、麻の紙として。
文箭 >>
蔡侯紙は、実は麻紙の製法からヒントを得て作られました。
麻の絮紙は、水に浸してから原料を切り、棒で叩きます。それから簀で漉いて乾燥させるといったものでした。

そこで、蔡侯紙は工程に時間を費やして丁寧に仕上げ、書写用を目指してみたのです。以前言ったのですが、製造には石臼などが使われました。棒で叩くよりも、材料がより細かくなるでしょう?
他にも木灰、蒸煮、斧を使ってみるなど、蔡倫は色々したのです。

その結果、蔡侯紙は表面が従来のものと比較して、平滑なものとなったのです。
そう!まさに書写にピッタリの紙ができあがったのですよ。
文箭 >>
前漢時代は、長いものでした。その長さは、紀元前から紀元前を終えてまで。B.C206年から後8年という長さだったんですよ。
その中で、絮紙は絹から麻へ……。
そして、後漢の105年において、蔡倫がとうとう紙を完成させたのです。
文箭 >>
さてさて……。紙の誕生は、本当に長い長い話でした。ここまで御付き合いありがとうございました!
文箭 >>
途中、どう説明したら良いか悩んでしまって……理解のし辛い解説も多くあったと思います。御詫び申し上げます。
もしかすると、次回には補足や訂正が入るかもしれませんね。一気に喋ると、時折間違った事を言ってしまう事があって。困ったものです……。
文箭 >>
次は何を喋りましょうか?興味のある事があれば、僕の知識でよろしければ御話致しますよ。
とりあえず次回からは簡単に「韓紙」を説明し、日本へどのように伝来していったかを説明しますが、そんなに長い話ではないと思います。
リクエストがあればどうぞ、なんなりと御申しつけ下さいね。
文箭 >>
そうだ。
文箭 >>
この話の中で、もしかしたら矛盾や間違いに気付いた方がいらっしゃるかもしれません。
見つけたら、どうぞ、遠慮無く御指摘下さい。
文箭 >>
僕は、あくまで、“見聞きしたものを喋った”だけですからね。




参加キャラクター : 70名

ENo.16 文箭句外
ENo.5 ポポロ・ダンドリオン上谷七人
ENo.26 メメント=M=ブラックウォーターJAKE
ENo.34 グラスグラス・ノスタルジアrkm
ENo.35 「ええじゃないか」ええじゃないか
ENo.86 四辻
ENo.111 マサリカ有柄莉衣
ENo.131 カラスクロリ
ENo.159 フィーナ・タルムードえうぐ
ENo.160 ドルチェ P. ソアーヴェ瑞樹
ENo.187 樋渡 案山子まもり
ENo.193 フタツアシ鴉瓜
ENo.204 アシェラッド=ウィアド・ケーナズisana
ENo.241 和尚ノルン
ENo.299 薄荷老酒ラサツバサ
ENo.313 人形と少女骨軒
ENo.314 ユベール東風
ENo.421 アブジーニャ大宇宙F意思
ENo.438 けせらんけせらん
ENo.442 レナート・フィウメリオP
ENo.444 首無しの馬オキハラ
ENo.447 伊賦夜魅月斬華
ENo.464 鳴瀬 御舟空路(そらみち)
ENo.492 カルス=ガーラントEins
ENo.522 ジャン=ポール・ギnafu
ENo.542 CVああさあ
ENo.556 シトロン=アンブランシュエクス
ENo.595 ビス・デアス・ノナウムスBis
ENo.661 内藤Darkness内藤
ENo.684 オーレリウス・ゴイーシャリョウ
ENo.785 皆手鹿子クロ
ENo.788 ロア=ユーサネイジア氷雨
ENo.876 ルシウス・キキ友人K
ENo.968 黒羽 麻音968.
ENo.970 ジャック・ザ・ブックワームKonezumi
ENo.979 レンツ・ドゥ=フェイカー
ENo.1143 RO=C11A.T.
ENo.1159 下柘植 桃Henry
ENo.1193 ファースティア・A・ラフェニールDさん
ENo.1204 ヤドランカ・プピンうにこ。
ENo.1236 グレイナード・F・ノイエンKTN
ENo.1253 スラント・J・フォックスアルディン
ENo.1290 セロ・プランシーplancy
ENo.1313 現原 せつなS.A
ENo.1315 ぷいぷい@ぷいぷい@
ENo.1329 百日紅羽柴清香
ENo.1337 くろねこ白毛玉
ENo.1347 菅原 レクシーダういろう
ENo.1405 ロッシ大きい猫
ENo.1430 ”手紙喰らい”ラト=エテルぎるやま
ENo.1452 スチュアート・ノット雨酒
ENo.1469 エルザ・フォン・アーレンベルクレナーテ
ENo.1495 オルガ・オルガノールKRNG
ENo.1499 ラザラス・パース松子
ENo.1558 エレン・ファルトリア三日月銃士
ENo.1598 幸虎緑
ENo.1655 百名の野良
ENo.1675 ナターシャ・クドリャフツェワのらうさぎ
ENo.1691 アシュレイ・シングレッドてらしあ
ENo.1733 曲辻 ア華ネ花麒麟
ENo.1746 リブ・アルベシオルリオ
ENo.1853 荒耶 薙
ENo.1870 宝島六二三十拳ハイヤ@17
ENo.1958 享楽深淵
ENo.2250 レーベンTurkis
ENo.2265 リシュレナ・フェルーディアみづき(き=なこ)
ENo.2294 ティンバー・ハーヴェストコリンLos
ENo.2395 リラヴェル・カマックプースカ
ENo.2539 フェア=レインmakise
ENo.2766 アクウィスカ・メーンヴィタperidot