年始のあれやこれやでいろいろと立て込んでいたせいか、皆と顔を合わすのも些か久しいように思える。
　こちらとしても細かな仕事が積み重なっていて、ゆっくりできるのは随分と久しぶりだ。

「……にしても、その再開第一歩が一人でむさくるしい兵士の相手とか、勘弁して欲しわあ」

　久し振りなのだから見知った屋敷の者たちと一緒に行動できればよかったのだが、相手はもうこちらを認識して、戦闘準備を始めてしまっていた。
　こうなっては、この世界を去る以外にこの一人での戦闘は回避できない、というわけで。

「……まあ、気ぃ使わんでもエエ、っちゅーことかね」

　ふう、と細く息を吐いてから、身体を動かす糸の調子を確かめる。
　むくり、と『人らしい動き』を装うのを排除した、糸繰り人形の動作で一度、立ち上がり。

「せいぜい、長く立っててけぇな？」

　上半身のみを軽やかに動かして、にこり、と兵士たちに微笑んだ。