〜　日曜チキレ劇場　〜
【　けっこんしてよ！ギュス子さん　】

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☆登場人物紹介☆

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【　第１６話　『　配りきれ！給水ポイント！　』　】




扉を開けたら、そこには別世界が広がっていました。

ここは、冥土喫茶 『有楽飯庵』（うらめしあん）。異次元の扉で何処からでも行ける、憩いの妖怪メイド喫茶店です。
料理自慢のオーナーと、かわいい２人のメイドさんがいつでもお客様をお待ちしております。


さて、前回までのあらすじ。

ギュス子さんの勝手な行動で、森の精に散々迷惑をかけ通したうらめしあん御一行。
流石に出禁を食らいそうな雰囲気だったため、一旦森から離れて他の地域へと進むことになったのでありました。

向かった先は数日前までカニだのホタテだのを採取していた砂地。といっても、今回は魚介類の採取が目的ではありません。
どうやら今の時期の砂地には、世にも不思議な月光の精霊のエンブリオが出現するそうで、

ハルさんのイケメン度をさらに高めるため・・・ではなく、戦いに必要な力を借りる為に訪れたのでした。

まるで砂漠を思わせる不毛の大地の中に、ひときわ目立つ季節外れのビーチパラソルと簡易テント。
そして冷たいドリンクありますのノボリ旗と、テントの軒下でせっせと客の呼び込みをする軽装のメイドさん。

そう。ここは突如姿を現した砂漠のオアシス、メイド喫茶うらめしあん【砂地給水出張所】なのであります。

どうしてこうなったのか。それは昨日のミーティングがきっかけでありました。

森でやらかしたことの罰として、しばらく謹慎を言い渡されそうになったところを、
とっさの機転と、あり得ないほどの寛容さを発揮したテンチョーの恩赦によって、条件付きで外出許可が出されたのでした。

その条件とは、自分で言いだしたことをやり遂げる。つまり、砂地でドリンク販売を完遂させる、というもの。

そんなこんなで始まったショップでのドリンク販売。そこにはいつもの２人の他に新しいスタッフの顔がありました。

日光にきらめく金髪のショートカットに緑の瞳の可憐な少女、名前はアルナイルさん。
うらめしあんがメルンテーゼにリンクしてから来店されるようになった常連さんで、
今回のアルバイトも、進行目的が同じだったことと、かねてからギュス子さんが勧誘していたことがあり快諾頂いたのでした。

人造人間ホムンクルスという生まれだからなのか、華奢な体つきには似合わない力持ちであり、
アンテナショップの立ち上げはテントの設営から機材の運び込みまで、初日とは思えないほどの大活躍となりました。

メイド喫茶のバイトということで、本人的には店内ホールスタッフを想像していたようですが・・・。

アルナイルさんの協力のお陰で設営もスムーズに終わり、後はお客さんを待つばかり・・・となったわけですが、

これが・・・来ない。


小一時間ほど待ってみたものの、お客どころか旅人らしき人影も見当たりません。

それはそうでしょう。こんな砂地のど真ん中に建てられたテントです。そもそも砂地を旅する人が多くありません。

さらに小一時間。やっぱりお客さんらしき人影は現れません。

代わりに現れたのは、付近のエンブリオ探索に出かけたハルさんたち。そちらも収穫はなかったようですが・・・

たがいに収穫なしということでひとまず解散。さらに２時間ほどが経過しましたが・・・やはり結果は思わしくありません。

色々あってさらに２時間。そろそろ日が傾いて来た頃です。

お客様というと、案の定あらわれることはなく。このままでは大量の在庫を抱える羽目になりそうな予感。


が。

在庫は残りませんでした。理由は推して知るべしです。覆水盆に返らずということわざもあります。


そんな中、最悪のタイミングで戻ってくるイケメンのハルさん。タイミングがまさにイケメンです。

死なないためとはいえ、店の物に手をつけたことは事実。バレてしまったら謝る以外に道はありません。

とっさに全力で土下座の姿勢を取ろうとするギュス子さん。しかしその直後、プラカードを手に猫ちゃんが登場しました。

そうなのです。テンチョーが許可した不毛の砂漠アンテナショップ。それは大がかりなドッキリでした。
スーパー寛大タイムと見せかけて、きちんと反省をさせるというテンチョーの企画だったのです。
見事ドッキリにハマったギュス子さんは、猛省してその後しばらくは真面目に仕事に取り組んだそうです。

人間、わがままばかりはいけないという良い教訓になりましたね。

あ、妖怪か。



つづく。


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