メィレーさんの力で綺麗に焼けたイカをもそもそと摘まみながら、ようやく合流できた見慣れた顔にほっとする。
少しだけ空気の違って見えるトウカさんとマコトさんへは、
仲直りできたようでなによりだと、胸をなでおろし笑う。
尋ねたいこと、伝えたいこと、たくさんたくさんあるけれど、今はそれよりもイカでみんなで祝杯だろうかと思う。
本当は駆け寄って。トウカさんを抱きしめたいと思ったのは、ここだけの、秘密。
前なら分からなかった感覚のその名前も、なんとなく今の自分になら、わかる。
そして、確かに感じる今までと少し違う二人に。ただよかったと、心から、そう思った。

まだ姿が見えない顔は——正直心配を隠すことはできないけれど。
心配しなくても、きっとまた会える気がするというのをどこかで感じるから。

「……スルメでしたら保存できますよね？」
「何する気ー？」
「ソルトさんと、ルドさんへも」

天日干しにたイカの横で、そんな話を肩の仔リス——ハルニレとすれば
それに興味はなさそうに、退屈そうにルアルが伸びをしている。


イカが焼ける香ばしい煙の行方を見ながらぼんやりと思う。
皆、そろって会いたいと。
揃ったらまた、ピクニックにでも行きたい。
皆のエンブリオも供に。他愛ない話をして。お弁当を作って。
離れていた間のいろんな話を出来たら素敵だと、思った。

——それは、旅の始まりの、４人では無くて。

苦笑しながら言う。

あなたも尻を弄り回されてみれば考えも変わる、とはさすがに口に出せず、視線が不自然に泳いだ。

視線が合うと、恥ずかしそうそそくさと隠れてしまった。

　にこやかに。続く彼女の言葉には、やや破顔して答える。

　母、なんです、とか細い声で、僅か照れ臭そうに。

　はにかみ、照れながらもしっかりと。相手の目を見て、そういった。

己のカエルとは違い、柔らかそうな羊。
それからリス、だろうか。どちらもやはり動物に見える。

カエルが飛びかからないようにぐっと抑えつつ、
ほかの人のエンブリオのことも少し気にして見てみようか、なんて思った。

ちらり、仲間を見やり、す、っと後ろに下がり