はっはっは、と胡坐を掻いて対面していた二人が笑い声をあげる。
少女の方は心底楽しそうに笑ったが、ティムラハの目は一切笑っていなかった。
深く溜息を吐き、眉間に酔った皺を解すように顔を覆いこの災厄が、と小声で呟いた。

適当なところで会話を切り上げると、汚れを落とすため河童の案内で小川へと向かう。
アマアルは恥じらうことなく汚れた衣類を脱ぎ捨てると川へ飛び込んだ。
おっさん何やってんだ……とティムラハは呆れながら、川辺で火を起こし、身体と衣類を手早く清めた。
≪トライター≫から箪笥を取り出し、替えの衣類を漁っていると、
アマハルがぱたぱたと水滴を垂らしたまま近付いて来たので手拭いを投げつけた。
目の端に映った名も知らぬ少女の控えめな裸体に眩暈を覚える。
隠せ、とは言えなかった。言ったら隠すどころか見せつけようとするのは火を見るよりも明らかである。
無視を決め込もうとして——ふと思い出す。

不信そうな顔をしながらも、ティムラハは指輪を外しアマハルに投げる。
≪トライター≫をティムラハは与えたのはアマハルだ。
「面白いものを拾ってきた」と、ある日突然、箱と指輪を持って現れた。
興味を持ったティムラハが強請ると、気前よくくれたのだ。
見せれば欲しがると予測し、≪トライター≫に事前に仕込んでいた——と。
書置きを残し旅に出てから一か月ほど。それまで捕まらなかっただけ、運が良かった方か。
アマハルが背後で「こっち見ちゃやーよぉ」などと、可愛らしい少女の声を上げながら何事かやっている音がする。
言われずとも見るつもりは毛ほども無いティムラハは、
女子供の採寸の服など入っていないのは百も承知だが、着れそうなものがないか確認する。

吐き捨てるように鼻を鳴らし、
適当に見繕った衣服を引っ張り出してからやや乱暴に引き出しを閉めると、ヨドがおどおどと口を開く。

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くまーについてのあれこれ。

何だか嫌そうにしている……

＞ティム

＞アマハル