ジャコーバラはとってもとっても小さな分割世界のひとつです。どのぐらい小さいかというと、およそ東京ドーム1万個ぶんぐらいです。
ジャコーバラは、その名のとおり麝香薔薇の花粉管が世界への出入り口です。麝香薔薇は草花の存在する世界であればたいていの世界に生息しているため、妖精たちの世界の中継地点として広く活用されています。
ジャコーバラの中も、美しい樹木や草花に溢れているため、妖精たちにとってとても過ごしやすい世界となっています。ジャコーバラの妖精たちは、太陽暦でいうところの365日遊んで楽しく暮らしておりました。
そんなジャコーバラの世界は、約1000年前までは人間たちに知られることもなく、妖精のみが住まう世界でした。しかし、1000年ほど前のある日、ジャコーバラのありとあらゆる植物に謎の疫病が流行ってしまいます。それは、植物を司る妖精たちにすら手のおえないものでした。妖精たちは腐っていく草木にどうすることもできず、困り果ててしまいました。

そこで、ある妖精が妙案を思いつきます。

『そうだ、草木に詳しそうな人間をさらってきて、どうにかしてもらおう！』

思いつくやいなや、妖精たちは近くの世界から農家の娘を即座にさらってきました。そして、さらってきた農家の娘に頼み込み、ジャコーバラに蔓延していた疫病対策をうってもらいました。その疫病は、農家の娘からしてみれば、初歩的でとても簡単な手を打つだけでおさめることができました。

『ありがとう、人間の娘よ。だが、お前の世界に帰る手立てはもうない。死ぬまでこの世界の面倒をみるといい』

本当は、元の帰る手立ては存在していましたが、それは農家の娘には知るよしもありませんでした。農家の娘は悲しみましたが、帰る手段がないのなら仕方がない、と割りきってジャコーバラで生活することにしました。

見た通りに、チョコをヘラでかき混ぜているように見えますが、少し勢いがよすぎるようです。
このまま続けると、中には気泡がたっぷり入ってしまいそうです。

どのように出会ったのか。
それを問われて、少し難しそうな顔をして。

どこから説明したものかな、呟いて。

肩を竦める。

それから、ああ、と思い出したように。

こしょこしょと耳元で呟くように

そういうと腰をひねって尻尾を触ろうとすると・・・