と、首をかしげ。
　リオンの話については、苦笑を返した。

　狐は、遠い視線で答える。その表情は、親が子を見守るに近い慈愛に近く見えるだろう。

　自嘲するように、しかし、悔しいという顔でもなく晴れやかに告げた。

　と、アレックスの方へ目くばせを送り。
　

　闇の話に一区切りをつけながら、遊びの話には驚きの表情を浮かべざるを得なかった。

　そう呟くと、妖狐は近くの生垣より一枚の葉を千切り、口に銜えて印を結ぶ。

　淡い光の粒が、地面よりふわりと浮かびあった。ゆるやかに回転しながら、輝きの残滓を撒き。
　呼応し、キャンバスを塗り替えるように、瞬く間に書き換えられていく視界。

　——世界は夜。
　複雑に組み合わさる鉄の骨組みと、闇を押しのける色取り取りのイルミネーション。
　踊りたくなるほどに軽快な音楽が賑やかに鳴り響き、木馬が、茶杯が動き出す。

　ぴょこぴょこ歩いてきたピエロから風船を受け取って、アレックスとレーヴェの方に差し出した。

そう、足元に声をかける。

ナニカが駆け抜ける。
それはリアンの傍にいたユニコーンの足元へ向かう。