とりあえず相手の世界にもやはりこの手の折り紙の折り方は存在するらしい。
二度、三度ほど相手の手をはむはむした後に手を引っ込めた。
頭上へと伸びてきた手の意図に気付く事もなかった為に、相手の謝罪も、その意味も、わかることなく、かわらず笑顔で少しだけ首を捻るばかり。

指をさす。まずは、自分が作ったぱくぱくを。
そして相手を。……指をさす行為は失礼、なんていわれるときもあるけれど、ジェスチャーがなければ今の自分は対話がなりたたないために、気に、しない。

最後に指をさすのは当然自分であり。

握手の為。手を伸ばしかけて。
…まだ、ぱくぱくを持ったままだったことに気付けば、指からそれを外し。
握手、ではなくて、そのぱくぱくそのものを相手に差し出した。
……いい年したオジサンとも言える年齢の、それも男性にこんなもの渡すのも、と……差し出した後に気付いて、今更不安になったりもし。
笑顔が、少し、曇った。

今思い返せばそうだ。
一般人はこんな色をきていない。
これが普通かと思っていたがどうやらちがうようだ。

ヘリで逃げるなんてよっぽどのことだろう。
彼はどうみても一般人だから自家用なんてないだろうし。