魔力を奪う生命体『ローバル』。シュウスケ達がこのメルンテーゼに迷い込むまで、様々な妖精界を渡り歩き戦ってきた存在である。

異空間に点々と存在している『妖精界』に突如現れ、そこに住む妖精達を襲い魔力を奪う敵…
　それが突如、このメルンテーゼにまで現れ、エンブリオを襲ったのだ。

目を閉じて、意識を集中していたフィリアスが答える。

一部の妖精は、魔力や気配と言った物を感知しやすい特性を持っており、フィリアスもその一人である。
気配を探って同じ妖精の仲間を探す事が得意で、今のようにローバル等の敵を見つけることも可能なのだ。

そう言って、フィリアスはもう一度目を閉じ、気配を探り始める。

転移は、人やモノをどこかへと運ぶ技術だと思っていた。
だから彼らの言うところの、『着せる』ための転移の使い方には純粋に驚いた。
それが確かなら、座標の指定等の技術は私の世界を遥かに凌駕する。
これほどの技術を持っている存在とは、いったい何なのだろう——。

そう考えていたが、シュウスケの出した名前で合点がいった。
『妖精』と呼ばれている存在は、往々にして大きな力を持っている事が多いと聞く。
その上に立つ者——予測だが——なら、この技術を持っていてもおかしくない。

シュウスケの解説を聞いて、頭の中で用語の整理をしている時。
ふと、フィリーの言ったひとつの言葉が引っかかった。

機械は人工物であって、天然の存在ではない。
それに『妖精』がいると言われたのが、気にかかった。

どんな場所かと言われて私が一番に浮かべたのが、その性質だった。

自慢の鎌を褒められて（？）ご満悦である

Xもシュウスケと同様に、その一言で話を流した。

あるところに探検家がいた。探検家は世界を旅し、お宝を集めていた。
そんな探検家の持つ宝の一つを奪うべく、時空を越えて襲い来るモノがいた。
探検家は目の前に現れたモノに問いかける。”お前は何者だ”と。
襲い来るモノは自らを”大混沌の眷属”と名乗り、探検家に襲い掛かった。

眷属は強大だった。身長は3mをゆうに越しており、鋭い牙と爪を持つ人狼の姿をしていた。
眷属から滲み出る力強さに加え、その巨体に見合わぬ機敏さ。

探検家がもう駄目かと諦めたその時、黒いコートに白髪の男が探検家と眷属の間に割って入った。
白髪の男は眷属の攻撃を黒い刀で受け止める。
続いて金髪の女が現れる。女は二丁の拳銃を用いて、眷属に幾千もの弾を叩き込んだ。

眷属は間合いを取り、現れた者共の様子を伺い始めた。


”中世はいやだね、すぐ虫に刺される”

最後に現れたのは、やつれて頼りなさげな青年だった。


髭男が”こーど・しんげつ”と言えば白髪の男は姿を消し、青年の全身は黒い金属に包まれる。
髭男が”こーど・みかづき”と言えば、青年を包む金属が彫像のように形作られた。
髭男が”こーど・まんげつ”と言えば今度は女が姿を消し、どこからともなく黄金の鎧と仮面が現れた。

”らいず”の一言と共に、鎧は彫像に装着されてゆく。
漆黒の上に黄金を纏った仮面の戦士が、そこに立っていた。

眷属は言った。”おのれ、またもや我々の邪魔をするか！”
仮面の男は言った。”おのれ、またもや僕の仕事を増やすか！”

眷属は仮面の男に襲い掛かる。それに対し仮面の男は、両手首に備えられた銃口を眷属に向け幾千もの弾を放った。
怯む眷属。その隙を見て仮面の男は”こーど・しんげつ・ぜつふつ”と言いつつ、ベルトに取り付けられた機械を弄くる。
すると胸部中央で光っている円状の部分が黒く染まった。
”らいず！”続けて言葉を放てば、その場に黒く巨大な刃が現れた。その刃は、白髪の男の刀の刀身に似ていた。

仮面の男は眷属へと肉薄し、振り下ろす一太刀にて眷属を両断した。

去り往く仮面の男を呼び止めて、探検家は男の名を問う。
仮面の男は自らをこう名乗った。”でばいざー”…と。

ナニかがこっそり、流されてしまった話題を拾ったのは秘密。

　

　

フィリーの驚いたようなそぶりに鼻を掻いて、

そういうとフィリーに何かを差し出す。
それは一枚の、フィリーのサイズには十分なサイズのビスケット。

何かを言いかけた様子に目をやったが、口をつぐんだ様子を見て
言葉を飲み込みつつ。

そう言うと足を上げてつま先をコツコツと叩いてみせて

女は妖精が声をひそめる様子をちらりと見て

彼が語る様子をひとしきり感心したような表情で眺め

軽くウィンクをして近づくと、少し上からぐいっと間近に顔を近づけた。

　何かに気付くとぴたりと制止して。

　半身になって体重は後ろがかり、腰が引けて神妙な表情。
影絵でも作るかのように右手をぱくぱく。妖精さんの大きさでも測っているのでしょうか。
怖くないと言われても関係ないねと言わんばかりに警戒中のようでした。

フェアリードライバーのバックル部分を展開すると、電子音と共に穏やかな光を放ち始めた。

フィリアスから宝玉を受けとり、バックル部分にセットする。
シュウスケの全身に強化骨格が瞬時に転送され、戦闘準備が完了した！