「ルタ」と呼ばれた妖精は、桃色の髪と、縞模様の特徴的なマフラーを揺らし、フィリアスを追いかける。
彼女の名前は『サフィルタンド＝キサ』。先程フィリアスが「妖精の気配がするー！」と言って向った先で出会った妖精である。

　ルタもまた、異世界からこのメルンテーゼにやってきたと言う。
どうやら子どもたちがここに迷い込んでしまったらしく、探し出すため単身世界を渡って来たのだそうだ。

　「もしかしたら、異世界からやってきた他の冒険者たちと一緒に、その子たちも一揆に参加しているかもしれない。」　そう考えたシュウスケは、一揆の際には一緒に行動することで、子どもたちの探索を手伝うことをルタに提案する。

また、自分たちの事…『フェアリードライバー』や『ローバル』の事も説明すると、ルタは手伝ってくれるお礼にと、「戦う時にはその“変身”の為に、魔力を貸す」と約束してくれた。

　かくして、一揆の進行時限定と言う条件ではあるが、新たな仲間が加わる事となったシュウスケ達は、改めて目的地へと向って歩き出したのであった。

そういって、シュウスケはベルトを装着する。

そう言ってシュウスケはバックル部分を展開し、手を掲げる。

ルタが同じように手を掲げると、シュウスケの手に光があつまって行き、宝玉が精製された。
ルタの瞳と同じように、半分が灰色、もう半分が緑色に輝く宝玉。完全に精製されたと同時に、シュウスケはそれを前面に掲げ、叫ぶ。

バックル部分に宝玉をセットすると同時に、シュウスケの全身は光に包まれ…次の瞬間には、ルタの魔力を基に生み出された装甲を見に纏った姿となった。

シュウスケの右手には、魔力で生成された武器が握られている。
ルタの装甲専用の武器であろう。打撃では、フィリアスの装甲以上に頼りになりそうだ。

バックルから宝玉を取り出すと、空気の中にとけるように宝玉が消えて行く。
それと同時に、シュウスケも元の姿に戻っていた。

どうやら言葉で説明されても、彼女にはあまり理解できないようです。

同じ名前でも別の世界、と聞くとまた不思議そうに首を傾げた。

村を意味する言葉は簡素なものが多く、彼女が挙げる意味合いも
『東』『風』『山の麓の』　といったようなものばかり。
確かに、これでは同じ名前も多そうだ…。

彼女が捉えられる「常識」の範囲内はとても狭いようだ。

一瞬感じた不穏な空気も直ぐに立ち消え、彼女はどこか疲れたように額に手をあてた。

—◇—

一人で盛り上がるヴァルトの肩に、仔鼬型のエンブリオが飛び乗る

ちゃんと力を抑えるように気も回しているため、今度は普通に触れるほどに温かい。
イグニとフィリーはぎゅっと手を握りました。

二人は何やら決めポーズをとっている。
本当に滅ぼされたのかと思えるくらい悲壮感がないが…。
信じる、信じないはフィリーとシュウスケ次第だ。

フェアリードライバーのバックル部分を展開すると、電子音と共に穏やかな光を放ち始めた。

ルタの魔力から精製された宝玉を、バックル部分にセットする。
シュウスケの全身に強化骨格が瞬時に転送され、戦闘準備が完了した！