人狩りの気配がする。

森に入ったにも関わらず、怪しげな気配が濃い。
追手か？
と頭に浮かんだものの、俺に追手は居ないはずだ。

心臓があるあたりを握り締める。

俺は生きている。
呪いは受けているが、死んではいない。

俺は生きているんだ。



人を狩るのなんてまっぴらごめんだ。
人に狩られるのはもっといやだがな。

本当は、争いとは無縁に生きたい。
だが俺には、これしか取り柄はない。


死ぬのが怖い。

多少むくれたように、しぶしぶながら納得したようだ。

大人しく頭を叩かれながら、思い出すように、言葉を搾り出した少女は首をこてん、と傾げた。

少女はそう言いながら、何もない空間から引き出すようにして両手剣を握り、軽々と振り回している

舌打ちされてもなんのその、
シロは全く気にする様子もなく尻尾をパタパタと振っている。

長刃を振り、血を拭った。