文箭(231)からのメッセージ:
文箭「さて、今回もまずは訂正と補足から始めます」 文箭「前回、墨の製法について御話しましたが、少し主語が抜けていましたね。菜種油から作る墨は油煙墨です。これは余談ですが、油煙墨は艶めかしいが落ち着きが無く、松煙墨はその逆だといいます。見分け方としては、磨り口が光っているものが油煙墨ですね」 文箭「前回の話は全体的にふらついていて、すみませんでした。なんだか取りとめも無く、分かり難いような……」
文箭「今回は、墨についての余談やら何やらを喋ろうと思います。本当は紙に移ろうかと思ったのですが、紙についての資料が手元のものだと少し心許無いので、また今度にまわさせて頂きますね」 文箭「というわけで、今回は前回にもまして飛び飛びで話をします。前回御話した“固形墨を磨るのが大変”という話ですが、これについては、現代では墨汁での解決策他に墨磨り機などがありますね」
文箭「しかし昔は事情が違いました。大きな作品を作るのに、沢山の墨が要る。“大きな作品とは”と言いますと、掛け軸や屏風の他に、幟が分かり易いかと思います。祭事で使用する幟は、昔は手書きだったんですよ」 文箭「幟は長さ10m帆布のですから、墨がのりません。大きすぎるので書く場所も無く、墨の量など半端なものではありませんでした。そういったものを制作するのに、一体どのような方法で液体の墨を手に入れたのか。答えは単純明快、弟子に磨らせたんですよ」
文箭「この幟の話で有名なのは、勝海舟でしょうか。前者は「よし書いてやろう」と意気込んで庭先に布を広げさせたものの、帆木綿が墨をはじいて、苦労したそうです。流石の勝海舟も「エライものを俺に書かせるなァ、腕が折れるようだ」と愚痴をこぼして完成させたとか」 文箭「そういえば、明治になって墨汁が開発されたと前回言いましたが、その製作者は田口商会の田口精爾という方だそうですよ。現在の開明墨汁がそれにあたります」
文箭「墨といえば、他にも色々ありますね。彩墨に……墨といっていいのか分かりませんが、金泥・銀泥もあります。昔は金墨・銀墨があったようですが。色んな色を直接的に出す事もできますけれど、黒い墨の特徴は濃度の調節が利くというところですね。例外として、磨った墨をわざと放置して腐らせて、宿墨というものにさせる事もあります」 文箭「超濃墨だと、文字は濃く、かすれます。逆に淡墨であれば、薄く、比較的伸びが良くなりますね」 文箭「ところで、淡墨ですが……現在は弔いの際に主に使われますけれど、昔はむしろそれ以外に使う事は無かったんですよ。淡墨が作品に取り入れられる事となったのは、日本の江戸末期〜明治辺りです」
文箭「そう言えば前前回、『墨を磨るといい香りがする』という話が見受けられましたが、僕もあの香りは好きでして……あれは麝香ですね。古くから墨には麝香が練りこまれています。なので、墨本来の香りではないんですよ。香りの無い墨もありまして、そちらには当然麝香は入っておりません」
文箭「今回は、こんな感じでしょうかね……。墨と呪術の関係性について御話しようかと思いましたが、予想以上に枠が足りませんでした。次回に回しますね。墨の話長くてすみません」 文箭「あ、いや、駄洒落じゃないですよ」
文箭「>玄深さんとミコトさん す、すみません、できるだけ書いていきたいとは思っているのですが……」 文箭「>ミコトさん ああいえ、褒めて頂いたところ申し訳無いのですが、あれは自分用の辞書というわけではなく、僕自身が篆書の鍛錬のために書いて作ったものです。唯辞書を必要とするのであれば、自分で書くよりも買った方が確実ですから……。現に、頁がめくりにくくてこれ見辛いんですよね」
文箭「>いんちゃん もちろん死体から採るのでしょう、死ぬ時は痛いかもしれませんが……」
バニー&ラスティ(1132)からのメッセージ:
PL「へー、ほー。なるほど…。どうりで炭でがりがりやっても、墨で描くみたいにならないんですねー(…)炭素だらけといえば、ダイヤモンドですがまぁ墨とかとは組成が違いますのでまた別ですね。」
ミコト(1619)からのメッセージ:
ミコト「ぉぉ…(説明をじっと聞いて)…美術品の鑑定では、使われている画材などの成分から時代をーなど聞きますが、炭も炭一つ、黒一色ではないのですねぇ…気が遠くなる思いです(首振る振る)」 ミコト「玄深さん>ぁ、…映画の方はですね、あの、書のよいところな場面でなく…、当時の墨汁の原材料は大変体に悪いものだったようで、「それを飲むことで私には逆らいがたい権力があるということを証明せよ」というような、…いえ、今の墨も飲んじゃ駄目だとは思うのですけど、えぇ(小さくなりつつ)」
わらわら〜ず(1970)からのメッセージ:
いんちゃん「すすって、あのこすると真っ黒くろになっちゃうやつですか? あれが墨のもとなんだ〜。すごいですね〜。あれで字を書こうと思いついちゃった人はすごいのです」
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