どのタイミングだったのかは然程大事ではないので省略する。
重要なのは、巡り会ったその一点。その瞬間。
夜空に散らばる無数の星が地上で出会えた奇跡を、人は運命と呼び酔いしれる。
「まァこの場合、女神が相場なんだけど」
「……」
セロの戯言に対する返答は、当然のように無い。無駄を一切省いた言動は、短い遣り取りの間で十二分に知った。
相槌を打つことも無ければ、食事（と言っても、時間が時間なので出来合いものが大半だが）に手を伸ばす
様子もまるで無い。
それを無愛想と取るか合理的と取るかで、相手に抱く印象は１８０度変わる。セロは後者を取った。
本当に付き合いが悪いなら、こんな長い前置きは切られてしかるべきだろうし
中々本題に入らない様子を前に、不愉快気に表情を動かすことも出来る。する、しないは兎も角として。
暫しセロの独り言が、ここオルゼの街、職人通りに響いた。

昼間はセロのように手に職を持つ人種が大勢闊歩しているこの付近は、大半の店が寝静まり
通りを支配している夜の帳の真っ只中、猫一匹の鳴声すら聞えない。約一名の声を除いて。

声を出してはいけないような　――　言葉を奪われてしまいそうで
瞳を開けてはいけないような　――　記憶が見えなくなってしまいそうで

そんな夜に似合いそうな風貌をしている少年を、“ただの少年”とカッコ付きで呼べない理由は
矢張り頭部を支配している三本角がある為だ。
様々な分割世界を巡り渡ってきたセロも初めて見る。悪魔と名乗る物珍しさも手伝い、こうして小さな食堂の
一角をお借りして膝を付き合わせていた。

古来、悪魔と取引をする際は、見合う対価を支払う必要があると聞いた。
支払えないと面白くない末路に至る事もついでに覚えた。
――場所がどうにも大衆臭くて、それっぽくないのは目を瞑ってもらおう。
魔法は使えるが上手と云えるものでもない。それに、これだけ他所の世界から人々が流入し
何時かの閑散とした様子が嘘のようなこの街中で怪しい儀式などをすれば、誰かの目に直ぐ入ってしまう。
救難信号を聞いて足を運んだのに、その自分がSOSを出すハメに陥るのはナンセンスだ。

「大分舌も温まってきたし、始めよう。欲しいのは“以前のセルフォリーフとの相違点”だったか」
少年の望みを確認するよう口に出すセロ。元来喋るのは好きな方なので、久方振りの長話が出来ると
話の道筋を頭の中で組み立てて行くのだが
「……問題ない」の一言で、よもや全てが片付けられてしまうとは、この時は露ほどにも思っていなかった。

唇を開くセロを見つめる、こんじきの瞳。
違和感を感じ首を傾げようとする、たったそれだけの時間で終わってしまうなんて、誰が想像出来よう。


★★★


古代エルフ（エンシェントエルフ)種。世界によって同名種族であろうと、分岐も相違もあろう。
セロは一本の大木から枝分かれして生まれたエルフだ。

生まれ故郷“忘れ去られた森（メイフライ）”が生まれたと同時に、その根を世界に広げた大木。
木は葉をつけ、実を宿し、落ちた種子から生まれた命、それが古代エルフ。云うなれば樹木の精霊。
一本の大木から生まれた仲間達は、親子でもあり兄弟でもある。

彼ら古代エルフの最終的な目標は、やせ枯れた土地に根を下ろし木となること。
緑を生み増やし、新たな命を生み出す下地となること。
そう云った世界を巡り渡ることから、別名“冒険エルフ”“放浪エルフ”とも呼ばれている。
外的要素で勿論命を落す事はあるが、基本的には世界樹たる大木が朽ちぬ限り命は続く。

緑の髪は木々の象徴、前髪の水色部分は水の象徴、身に纏う白いローブは再生、再構築、再出発を意味する衣装。
セロもまた揃いの衣装姿で旅を始めた。セルフォリーフに降り立つのは、今回で２回……３回目になる。
過去の記憶と現状との違いを照らし合わせ、それらはしかし口に出る事は無い。
全て、目の前の金色の光に吸い込まれてゆくのだから。


★★★


面白い力だ、とセロが呟くと過去の映像が頭の中から消えた。覚えては居るが、今また思い出せと言われると
面倒を覚える程度には疲れている。疲れたと云うよりは脱力が近い。
頭の中がぼうっとしている。水入りグラスを手に取り一口含むが、それでもまだ夢見心地だ。
契約を果たした……と聞えてきた単語に、最初は何と無く頷いていたが、飲んだ水が隅々に染み渡るのを感じた直後
「ちょ、待った！」
セロは叫んだ。　　待ってくれ。何も“話していない”　目を合わせただけで終了か。
まだまだ時間は残っている。料理も冷めてしまったが、殆ど手付かずだ。
テーブルの上に並べられるのは、昔話の対価としていただく古い術式。魔法。
今後の武器作製に役立つと踏んだ、別世界の言葉で綴られている羊皮紙たちを
さり気無く足元の巨大バッグに入れる周到さはあったものの、まあ待て、座れと頼み込む姿の方が
子供染みて見える。齢１０００年を超えたエルフだと云うのに。

「一期一会って言葉、知ってるかい？
次は何時会えるか分からないときた。せめて今晩ぐらい付き合ったってバチは当たらんよ」

語り掛ける少年から反応らしき物は無い。が、席を立つ様子も見受けられない。
少々強引過ぎたが、一先ずは聞いてくれるらしい。
これは最初に心を掴む必要がある。面白い話、それもとびきりジョークが利いた体験談は……あれにしよう。
相変わらずウンともスンとも動かない少年の表情を前に、ならば変化させてやるかと
テーブルの上から身を乗り出すようにして、セロは勿体ぶった口調で昔話を始めたのだった。


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お借りした人
ルーノフュームさん（Eno.122）

ソラ(1847)の声が届いた：
ソラ「今日もしっかり歌っていこうっ」

ウェアー(1717)の声が届いた：
ウェアー「「木漏れ日に集うを応援するコミュニティ」ヲ開設シテイマス。」

クアル(1543)の声が届いた：
クアル「装飾が作れるのじゃ。木漏れ日とかにどうぞじゃー」

ルニ(1541)の声が届いた：
ルニ「ませきさくせい、うけたまわるです。
ませきさくせい、いりませんか？
なにかいただけたらうれしいですー。」

リベラ(1466)の声が届いた：
リベラ「カフェ・オリュゾンですー！お弁当作るですー！お料理交換もするですー！」

マルクマルコ(1304)の声が届いた：
マルクマルコ「付加・合成」

魔法のパン屋モニカ(1292)の声が届いた：
モニカ「うーん…なぁんだかここ数日の記憶がはっきりしないんだけど…ま、いっか。」
モニカ「いらっしゃい、いらっしゃーい！モニカの移動式パン屋よー！良かったら見てってちょうだい！もっと詳しく見たい？コミュニティ1292、小兎の移動式パン屋までお願いねっ！」

ソラマル(1276)の声が届いた：
妄想キャプテン・Ｇ「さあ、ナントカカントカの町が見えてきた！」
ソラマル「本当ナリ！もう一息ナリ！」

カトー(1120)の声が届いた：
ようせいが辺りを飛び回り、スライムがそれを追いかけている…ようにみえる。
アディ「このあたりには、まだわたしがみつけていない…」
アディ「おいしいもの屋さんが、あるような気がするのよ…！！」
カトー「…」

ハルトムート(981)の声が届いた：
ハルトムート「エスタは賑やかだったけど、オルゼみたいな静かな街並みも悪くないよなァ。」

樽子(970)の声が届いた：
樽子「|樽|ω＝）いかんいかんですー。さぼりすぎたですー。そろそろ働かないと、生活費ぴんちですー」

アイギス(859)の声が届いた：
アイギス「今回で魔石１３と付加１１予定です。
低レベルではありますが、入用でしたらお気軽に伝言下さいませ。」

ハルカ(652)の声が届いた：
ハルカ「いやぁ〜、脱衣ってホントにいいモノですナ」

トラハ(459)の声が届いた：
トラハ「どォしたもンかねぇ、こりゃあ」

ゴリアテ(338)の声が届いた：
ゴリアテ「武器作るよ〜！ご希望の方は伝言でどうぞ！」

ぴー(228)の声が届いた：
ぴー「装備の作成をどなたかにお願いしようと思います！」

リンディ(3)の声が届いた：
リンディ「付加20。長かった」

セラ(3428)の声が届いた：
セラ「現在魔石12ですが、今週の訓練で17になると思います。
もし必要な方が居ましたら、伝言かなにかで御依頼頂けると嬉しいです。」

ソラ(3377)の声が届いた：
ソラ「なんだかよく分かんないですけど、
　　　おめでとうございまーす♪」

ディッグ(3375)の声が届いた：
ディッグ「さて、ギャングをどこまで攻められるか。」

コウ(3153)の声が届いた：
コウ「料理作ります　無償　伝言にて」

レナ(2871)の声が届いた：
レナ「武器制作と合成、承ってるわヨ！！　お気軽に伝言ちょうだいネ！（ウインクばちこん！）」

まもりん(2722)の声が届いた：
まもりん「リスさん結婚を記念してコミュニティ「既婚者だけど六命してるよ……?」を立ち上げました！　是非参加してください！」

ご主人と使い魔(2565)の声が届いた：
リヴィエラ「ゾンびのお肉は臭いです。チョコフォンデュにしたラマシになりまスか？」

アリア(2375)の声が届いた：
アリア「武器枠（現LV20）割と余ってます。突撃も歓迎ですよー。」

ちっちゃなリン(2342)の声が届いた：
ちっちゃなリン「リンはここなのです。ここなのですっ」

カーチャ(2123)の声が届いた：
カーチャ「なんて幸せな日だったんだ……毎日こーならいーのに」

メリム(1951)の声が届いた：
メリム「防具・料理作成、承ります。木漏れ日の下か伝言でお気軽にどうぞ！」