ENo.3494 Elisabeth = Aruhn

「好奇心」
この世界に来て久しく感じて居ない感情。
里に居たとき、好奇心の赴くまま様々なものを調べたりしていたというのに。
その結果火の魔法と出会い、この世界に来る事になったというのに。
これを満たす事が私の行動原理の一つだったはずなのに。
今では好奇心よりも先に警戒心や恐怖心が湧いてしまう…。

この感情はこの世界を脱出すれば取り戻せる、そう思っていた――

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パーティが出来て初めての戦闘、当主さんのお手並み拝見……と思っていたのだけれど。
彼は私の想像以上だった。……悪い意味でね。

彼は戦闘狂ってやつだった。

クスリを用いトリップした後、敵に獣のように襲い掛かり、暴れる。
戦闘が終わった後もクスリが切れるまで暫くはそのまま倒した敵を攻撃し続ける…。

幸い敵と味方の区別はついているように見えた、偶々のことかも知れないが…。
とはいえ彼と並んで戦うのは危険なようなので、次からはもっと離れて戦う事にしようと思う。
それでも危険なようなら…戦い方を考える必要がある。

どちらにせよこの程度ならまだ想定内。もし彼が私を襲ってきたら対処すればいいだけのこと。
それにあそこまで狂っているのなら彼がどこまで狂ってるのか興味が沸いてきたところだ、この程度で別れるのはもったいないというものだろう。

……こういう事に好奇心が湧くのはこんなのとはいえ仲間が出来て精神的余裕が出来てきたから？
ついこの間まで周りを見る余裕なんてなくこの世界で目新しいものに出会っても好奇心よりも先に警戒心や恐怖心が湧いてしまっていたというのに。
そう考えると、パーティを組んだのは正解だったという事になる。
この世界にも私の好奇心をくすぐるものがあることに気付かせてくれたのだから。
私に好奇心という感情を取り戻させてくれたのだから。

さて、それはそうと戦闘で手に入れた春菊は雪のお姫様にお願いして装飾品にしてもらいましょう。
どうせこれから会うのだしね。
雪のお姫様……名前はホワイトスノウ・リリィさん。
様々な世界を渡り歩いていてこの世界でも飄々と生き抜いてるすごい人。
以前お世話になったのだけれどもお礼も出来ずに別れてしまった人。
今度こそあの時世話になったお礼、出来ればいいのだけれど……。