ENo.3494 Elisabeth = Aruhn

「あら？何の音かと思ってきてみたら、知った顔が居たわ」

ちょうど戦闘が終わった時その人は現れた。
忘れるわけが無い、恩人の顔。

エリザ「リリィさん！よかった、会えた。」

リリィ「久しぶりね、エリザ。
……と、あなたはグランデルド・ファン・ヴァンデルガルデね？」

グランデルド「ふむ、なぜ私の名前を？」

リリィ「私はあちらこちらの世界を渡り歩いているの、知っていてもおかしくないでしょう？」

グランデルド「なるほど。お目にかかれて光栄だ。」

エリザ「お久しぶりです、リリィさん。」

リリィ「で、その様子だと私を探していたみたいだけど。会いに来ただけじゃないでしょう？何の用かしら？」

エリザ「実はフリストに行くために色々準備をしていて、そのために作ってもらいたい装飾があるのと…あとはあの時のお礼がしたいなと……」

リリィ「あら、装飾品が欲しいの？それなら任せて、二人に似合うのを用意してあげるわ」

リリィさんはあっさりと私の頼みを聞き入れてくれた、どうやら彼女の元へきたのは正解だったようだ

リリィ「それと、あの時の事は私の気まぐれで助けただけだから、前にも言ったように気にしなくていいのよ」

エリザ「ですが……」

リリィ「でも、何かしたいというのならそうね、私のお願いをきいてくれる？」

エリザ「お願い、ですか？」

この何を考えているか読みきれない雪の女王のお願いとは、一体どんなことだろうか

リリィ「実は、食糧がきれちゃってねえ、飢え死にしそうなの」

エリザ「飢え死に、ですか？」

リリィ「そうそう、私としたことがドジっちゃったわよねえ」

と、リリィさんは笑顔で続ける

リリィ「だから、貴女たちの持っている食糧を少しだけ分けて頂戴。あとはそうね付加もお願い……それで貸し借り無しよ。」

エリザ「そういうことなら野菜がいくつかあったはず……これでいいですか？」

リリィ「ありがと、それじゃあ装飾作っちゃうから少し待って頂戴。」

エリザ「それじゃあ私も付加に取り掛かります。」

作業中、唐突に彼が私に話しかけてくる。

グランデルド「エリザ、君はお姫様には敬語なのだな？」

エリザ「だから何？私は今付加作業中なのよ？」

グランデルド「ククク…なに、態度の違いが気になってね。」

エリザ「当主さんは狂人、リリィさんは私の恩人。態度が違うのは当然でしょう？作業の邪魔をしないでほしいわ。」

グランデルド「それは失礼した、作業に戻ってくれたまえ。」

リリィ「こっちは終わったのだけれど……その様子だとそっちはまだみたいね？」

エリザ「あ…ごめんなさい…もうちょっと待ってください。」

グランデルド「…ククク。」

この男は本当に…。

エリザ「付加完了……と。」

エリザ「リリィさん、できました。遅れてすいません…」

リリィ「気にしなくていいわ、待ってる間に彼とも話せたしね。」

リリィ「で、あなたたちフリストに向かう準備をしてるって言ってたわね？
このまま向かうつもりならやめたほうがいいわ、準備不足よ？」

と、リリィさんは相変わらずの笑顔で続ける

リリィ「あの噂が流れ始めてから略奪者達も活発になってるわけ。
賢いあなたたちなら後はわかるわよね？
悪いことは言わないから一度タルタスに戻りなさい。」

リリィ「それじゃ、私はそろそろ行くわね。エリザ、貴女に会えて楽しかったわ。」

エリザ「はい、リリィさん色々とありがとうございました。」

グランデルド「それではお姫様、お元気で。」

こうして恩人は去っていった。
結局恩は返せていないが仕方無い。生きていれば次の機会もあるだろう。

＊　　　　　　　　＊　　　　　　　　＊

エリザ「と、いうことでタルタスに戻るわよ当主さん？」

グランデルド「やはりお姫様の言う事には従うのだな君は。」

エリザ「うるさいわね。私も準備不足かなと思っていたし、リリィさんの助言で踏ん切りがついただけよ。」

グランデルド「おやおや？『このままフリストに向かってもいいわよ？』といっていたのは誰だったかな？」

エリザ「あら、じゃあ貴方だけで山でも越えればいいんじゃない？」

グランデルド「ふむ、それは遠慮しておこう。」

こいつに会ってから好転した事も多いが調子は狂わされっぱなしだ。
いつか本当に燃やそう、私はそう心に誓った。