ENo.1427 DRACOFIDELIS

※今回の日記は、Eno.620カロリさん、Eno.1424五十嵐旋風さんをレンタルさせて頂いております。

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エスタで請け負った食料の運搬の依頼。
噂によれば行き先の村では多くの負傷者が出ているという。
多額の報酬額はその為か。またあのゾンビ発生のような異常な状況なのだとすれば、それは物語の進むきっかけとなるのか。

その村はエスタからそう遠くはない、水辺の村だという。
青々とした草木が繁る平原を一行は進む。

焔の月の十五日目。
暫くは音沙汰もないのだろうと思われていたそれは、またしても唐突に言葉を発した。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
親愛なる我が友よ！

言葉は、ドラゴンの喉元に埋め込まれた魔石から発せられた。

声が響いた瞬間、びくりと肩を震わせたカロリと、傍にいた旋風が周囲を警戒する様子を見せた。
当たり前のことだろう。声の主の気配はそこにはない。
彼らの背後あるのはただ、行動を共にしていた人物だけなのだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
すばらしいアイディアをありがとう、これで話を続けられるぞ！

その声はまるで彼自身が叫んだかのように辺りに響くが、その声音は微塵も似ていない。
歓喜と好奇心に弾んだ、重たくもみずみずしい、今にも踊りだしそうな男の声だった。

いつの間にかバニアが一人、中空からドラゴンを見つめていた。
否、正確には魔力に満ちた声の元を、だろうか。

「な、なんだよ今のっ、誰かいんのか！　バニアも聞い…っ、バニア？」

慌てた様子の旋風の視線は、傍らの妖精に向けられ、その見つめる先へと移る。
そこには常と変わらぬ様子のドラゴンが静かに立っているだけだ。
旋風の表情にありありと混乱の色が滲む、も、一拍おいてそれが真顔に変わる。
彼の背後から覗き込むように見ていたカロリの細い指が、不安げにその服にかけられた為だろう。

思えば、彼らと共にいるタイミングで魔石が声を発したのは初めてのことだった。
仕方のないことかと思いながら、更に語ろうとしているのか魔石の周囲に魔力が溢れるのをドラゴンは感じとる。

「………ヴィルヘルム。二人が混乱している、少し、待ってもらえないか。」

ドラゴンが口を開くと、そこから漏れ出すのは常の彼の声、言葉だ。
ぎりぎり目視ができない位置にある己の首元を三人にさらす様に、緩いハイネックの襟を掴み下げながら、視線を落とし。
そこには緑がかった金の魔石が埋め込まれ、男の声が響く度に、霧のような光を散らしていた。

もちろんだとも！
異界から訪れた探求者よ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
君がどのように彼らに事情を説明するのか、教えてくれ！

声はその光と共に平原に響く。
声の主がそこにあるのだと気付いた様子で、カロリが旋風の背後からそっと問いかける。

「……これが、喋ってるの？　……ドラゴンさんの声、じゃないよね？」

これ、と称された魔石は先の宣言の通り黙っている。旋風が、えっと小さく呟き。

「今の声、ドラゴン…っじゃなくって」
「…あれが、原因だ」

二人の疑問に呼応してバニアが頷いた。
警戒を解く様子はないが、慎重に観察している気配が窺える。
ドラゴンも浅く頷き返し、魔石が黙っているのを再度確認してから、常の淡々とした口調で話し始めた。

「驚かせてすまない。先に説明をしておくべきだったな。

「彼は私に試練を与えんとするとき、この魔石を介して語りかけてくるのだ。」

「【彼】の名はヴィルヘルム・グリム。数多のファブラを形にする者。
　――――私の導き手だ。」

君が物語を導いてくれるようでなくては困るのだがね、まあ、いいとしよう！

魔石が紡ぐ言葉は不満げな表現をするが、口調そのものは飛びぬけて明るい。
まるで威勢のいい酔っ払いのようだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
――さて、そろそろ第二章といこう！

『あなたたちが洋館を調べると、ゾンビの発生源には魔法の力が残っていました。
　その跡を追ってたどり着いた村で、たくさんのモンスターが暴れています。
　モンスターを退治しようとする者もいれば、家に引きこもり助けを待つ者もいます。
　ゾンビの館を攻略したあなたたちは、次はこの村を助けてほしいと頼まれました』

物語を語り始めると、打って変わって穏やかな深みのある声音に変わる。
長い物語ではない、大雑把で、不明確な部分の多い、粗筋だ。
洋館で起きたことが「そうだったか」は関係ないことであるのか、まるで「そうだった」かのように物語は紡がれる。
物語に出てくる村とは、間違いなく目と鼻の先にあるその村のことだった。
耳を澄ませば、遠くからでも注意深く見れば、騒ぎが起きていることを察知できるかもしれない。

「村を、助けてもらえないだろうか」

助けを求めたのは…当の村人ではなく、物語を静かに聴いていたドラゴンだった。

「私はこの試練を良い結果へと導き、物語の最終章に辿りつかねばならない。
　だが、…私一人でこなすには難しい事柄だ。」

不意に、ドラゴンの周囲の風の力が強まり、足元の草が靡いた。
極端に高い位置にある頭が彼らの目の下へと下がる。
片膝を折り、頭を垂れ。それにしても大きな荷物の影になりながら、ドラゴンは三人の前で跪いた。

「カロリ。旋風。バニア。
　どうか私の協力者となって、共に、この物語を紡いでもらえないだろうか。」

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＜アイテムリスト＆アイテム使用ルール＞

ドラゴンの背負う鞄の布の隙間から眩い光が漏れ出した。
彼の纏う風とは別の力が働き、光の中から滑り出した古びたカードが宙を舞う。
そこにはそれぞれ異なる絵が描かれているようだ……。

1.Cards
2.Whip
3.Statue
4.Brush
5.Boots
6.Flower
7.Dice
8.Treasure box
9.Knife
10.Vase
11.Cloth bag
12.Whistle
13.Key
14.Handcuffs
15.Glass bottle
16.Drum
17.Ladder
18.Fang
19.Mask
20.Torch

参加者は【1D20】ダイスを各自2回振り、出目A，Bの数値に応じたアイテムを用意される。
もしA，Bが同値の場合はダイス目に更に+5し、その1桁目をもってBとする。
+5して20を超過する場合、21からは一桁目を採用する。
もし誰かと同じカードを引いた場合は、カードは一枚しかないので話し合いで解決する。

―＞ A，Bのアイテムの内一つを次回イベント実施時に選択して使用する。
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