——まだ新しいノートにかろうじて読み取れる、ぐしゃぐしゃな文字が書かれている—— 　　『うみのいちばんした いせきいく した！ 　　　　　ヒミコ と イルヤ と ゴーレム　つよいかった 　　　 　　マヒルも がんばるた  たべもの？ ひろうした　　　　　　　 　　　　　きれいなうろこ と かたい と おてかみ も ひろうした 　 　　　　　　うみ　いろろろながれる くる　ふしぎ！　　　　　　　　』 ——ページ下部には心なしか元気のない文字で書かれた一文が。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 『おれんじひらひら　にげるする　した』—— ——…… ぱたん、とノートを閉じてペンを置き、マヒルは大きなあくびをしました。 今日は初めてのことがたくさんあったので、疲れて眠たくなってしまったようです。 初めての海底遺跡探索に初めて見る生き物。 ヒトデのまねっこをしている女の人にマイケル。 目が合ったら逃げてしまった、オレンジ色の不思議な…… あの子は何だったのでしょう？ ひらひらしていて、おおきくて。また会うことができたのなら、今度は逃げられないように、そうっとこっそり、目をつむって近づくことにしましょう。 目覚まし時計の持ち主探しの方は、とりあえずお手紙を流してみることにしました。 あの目覚まし時計は流れてきたのですから、同じようにお手紙を流してみたら持ち主に届くかもしれません。 持ち主に届かずとも何か知っている人が居るかもしれません。 なんて良い考えなのでしょう！ やはりすごいアヒルはすごいのです！ ——流した手紙に時計の特徴と自身の名を記し忘れたことに気付かないマヒルは、明日の探索に備え、満足気に眠りにつくのでした。

	穏やかな海《セルリアン》

穏やかな波、暖かい水温。太陽の光を透かし、キラキラと輝く水中に、
光とともに舞うように鮮やかな熱帯魚達が珊瑚礁に集まる海域。

この世界の窓口である探索者協会からも程近いこの場所は、
色々なところから集まってきたバカンス目的の観光客や、
これから冒険に挑もうとするものたちで賑わっている。

比較的凶暴な生物もいない、穏やかな、冬でも温暖の海である。

遺跡探索

マヒルは、この世界の探索者としての一歩を踏み出した。
海底に沈む遺跡の探索——。

誰もがこの海の、この遺跡から冒険の一ページを刻み始める。
とはいえこの辺りはまだまだスタートライン。

もっとこの世界に眠る、謎や宝や未知の生物を目にしたいと願うなら、
このセルリアンの遺跡を抜け、さらなる海域を目指すといいだろう。

海はまだまだ遠く、広がっている。