……おはようございます。

お、目ェ覚めたか。

……私、どのぐらい寝ていましたか。

二日間。まぁ病み上がりであんだけ血ィ流せば、仕方ねーだろ。

いや本当ぐっすりだったぜ。ナニやっても起きねーから本当に寝てンのかー……って冗談だって。
ナニもやってねーからそんな顔すんなって。

……<庭園>の被害は、

家屋や花畑や何個かツブされたけど、人的被害はゼロ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 オーガ
で、原因のほうだけど、どうやらあいつら、本当は毎年来てるみてェでさ。
今までは王国軍がなんとかしてたけど、<庭園>のヤツラ、誰もそれを知らなかったンだと。

ルリアンナもそーいうことこそちゃぁんと調べといて欲しいよなぁ。

って、そこも俺がしっかりしてれば良かったんだけどな。

ホント、今回はお前のおかげだぜ。ナル。

…………。

……お話があります。

奇遇だなァ、俺もだよ。

ずっと、ずっと探していました。——ハルトムート。

っ——————、

————。

俺がハルトムート、だって？

否定、しますか？けれどそれが事実で、真実でしょう。

どんなに確率の低いことでも、他の可能性が零なら、
それが真実だと信じる他有りません。

見えてるものが全ての可能性とは、限らねーんじゃないかい？

まァそれは良いとしても。——なんでナルは、そう思ったんだ？
理由を訊いてもいいか？

……決定打は、この前の出来事、です。

ですが、客観的な証拠を挙げるなら——、

今あなたが読んでいたこの本、
セルフォリーフ——“私が居た”世界の本です。

……解りますよね。それが、どういう意味か。

——ああ。
違和感の正体は、それだったのか。

　　　読めるはずのない
セルフォリーフの言葉で書かれていた……んだな、それ。

はい。
まさかここで、“レンツ”の元いた世界はセルフォリーフだった、とは言いませんよね。

私がこの世界の文字を読めないように。
あなたもこの本を、読めないはずなんです。

“彼”でないなら、教えてください。——あなたは何故その本を読めるんですか？

この前の襲撃で、私はあなたが戦う姿を、初めて——いいえ、“久しぶりに”見ました。
——やっぱり、二本の剣で戦うんですね。

……今思えば、
その赤い瞳を見てすぐ気付くべきだった、と思います。

…………。

……なんで何も、言ってくれないんですか。

違うなら、ハルトムートでないなら、
「違う」——と言ってくださいよ。

私はただ、お礼を言いたいだけなんです。

初めて会った、あの時のこと。
助けてくれてありがとう、と。

誰かを助け戦ってきたあなたにとっては、きっと取るに足らないことだったかもしれないけれど、
私には、とてもとても、大きな——、

——命を救ってくれたことよりも大きい、物語の一頁のような出来事だったんです。

だから……、

…………。

……変なことを聞いてしまい、ごめんなさい。
困らせるつもりは無かったんです。ただ、本当に——似ていて。

襲撃のことですけど、助けてくださって本当に有難うございました。
あなたはああ言ってくれましたけど、私にはあれが限界です。

この前の非礼も、お詫びします。これからもこの<庭園>を、よろしく、おねがいします。

……すみません。やはりまだ体調が優れない、みたいです。

話は、また今度で——、

そうだよ。

俺がハルトムートだ。

う、うん……頑張る……でも、包丁ってなんであんなに切りづらいのかな……滑って怪我しそうになるし……鋏みたいなのじゃ駄目なのかな……

ぇと、村の皆はね……わたしくらいの歳でお手伝いしてたし……よくその事で笑われてたから……わたしが特別下手なんじゃないかって……心配で。

もちろん……レンツさんに美味しいって言ってもらう為にも……楽しんで頑張るよ！……さ、流石に自由自在は……今はちょっと想像できないけど……お姉さまの様になんでも作れるようになれるなら……自慢できるかな？……あはは。

<F2>……こんな事言うのは……あまり良く無いかもしれないけど……最初から何でも出来ちゃう事は……そんなに悪いことじゃ無いと思うの。

レンツさんの言う通りに……学べる楽しさや充実感が無いことは……悲しい事だと思うけど……いい顔をされない事もあると思う……

でも……それは人の役に立てたり自分の役に立つことが多い事だから……決して悪いことじゃ無いと思うの……それこそ知らなければ……出来なければ教えることや……それを役立てる事も出来ないわけだし……

わたしみたいな……何にも出来ない人がこういう事言うのは……嫉妬じみてて嫌だけど……出来ない人と出来ちゃう人は……そんなに変わらないと思うの……あはは。

・・・・・・。

何度でも口にしてあげるわ、フェイカーさん。
貴方は無意識下に誰かの真似をしていないか、と聞いたのよ。

まあ、本当に真似をしているのか、若し真似しているとしても何処から何所までなのかは、私では推し量れないのだけど。

以前も記憶喪失云々と聞いた事が有るけれど、そもそも・・・
貴方が何者で何処の生まれで誰に育てられたのか。冒険者となる前は何をしていたのか。それらの来歴を示す物は、現状、貴方にしか証明できないわ。

そして一般的には、大半の人間や・・・社会生活と言語・文化を持つ種族は、それら来歴、つまり”今まで何を行ってきたか”を拠り所に、あるいはそれに縛られて生活を営むもの。

中身の是非は兎も角、示せる記憶が無い存在と言うのは、物心付く前の幼児位のものでしょうし。それでも有る程度の年齢ならば、自身の名や家族の存在を証明する程度は、できるわよね。

でも、拠り所が無ければ人として立ち行かない。生活ができない。
例えば自身と別の種族に育てられた赤子は、その別種族の生活様式を真似て必死に生きようとすると聞くわ。それこそ、魔獣に育てられた人間の例も無くは無い。

・・・では、全ての拠り所を無くし、しかし何かを模倣する能力を持った存在は何を働くか。
未開の荒野にでも放り出されたので無ければ、生きるため、自身が入り込める社会を探し、適応しようとするのではないか。
姿かたちさえ問題無ければ、後は交流能力と生活能力の問題かしらね。

まあ、それらも真似しようとすれば行けるでしょ。言葉が言葉と認識できれば、後は場面ごとの活用を覚えるのみよ。
そして、大体どの文化段階でも、健康な肉体が有ればその日暮らし程度ならどうにかなるわ。

この辺、特徴として記憶力が高くて技術習得が圧倒的に早いならば、諸々の条件クリアよね。

とは言え、本当の白紙から今までを全部真似して来てたら、多分もう寿命は切れてるとも思うのよ。それは言うなれば、他人の皮を被り続けて生活するような物なのだから。

私が思うに、誰かとの強烈な出会いが有ったのかもしれないと考えてるわ。剣の腕前、英雄たらんとする姿勢、そして・・・笑顔もね。
それこそ、今までの記憶を捨て去って・・・こうなりたい、と願うような。
今までの生活を、拠り所を棄てて目指したくなるような、ね。

・・・そんな恐ろしい顔しないで頂戴な。
それとも、その表情もどこかで見たことが有るものなのかしら。
今の話は飽くまで仮説、ある種の想像よ。だから——

——あなたはだぁれ？
・・・なんて事は言わないわ。今は答えが返って来そうに無いし。
その力が有るなら、誰にだってなれちゃうものね。
だから、寧ろ聞くべきは・・・そうね。


貴方は”誰を”真似たのかしら、フェイカーさん・・・？
　

——構えろ

——そんじゃ、おッぱじめようぜ？

はぁ、はぁ……はは、はっ。
この程度じゃまだ負けてやれねーなっ！

留まる理由もあるまい。進むぞ

周囲の安全を確認っ、後方からの追撃もナシッ！
そんじゃぁこの調子で、ガンガン進むぜーっ！！

あれ、は……？

どうした？

……んあ？もしかしてコレ、材料として使えんじゃねーの？
どれどれ……

こーれーで、よしっ！
はっはっはっ！上手いモンだろ？冒険者の嗜みってヤツだぜ！

では、始めるとしよう

——構えろ

最近の練習試合はよく知らない人を見かけますねえ

それでは改めまして——タンポポ荘の、ポポロです！
今回はよろしくお願いしちゃいます！

少し尻尾の性能を調べるのです！

さあ、先へ行きましょう！
ごぅごぅごー、です！

未知の食材は無いのかしら？
もしあれば、味ｍ…こほん、料理するわよ

下柘植忍軍、総員突貫！ 三階への橋頭保を確保するッ！！