(何も書かれていない。まっさらのままだ。)

と、リリスの言葉を聞いて、

　——この人たちのために、頑張ろう。
　その言葉こそが、引き金なのだ。一揆参加者のすべてが同じ方向を見ているわけではない、毎日どこかで誰かと誰かが対立していることを、ポポロは知っている。

　「この人たち」というモノの正体が、とても脆いものだということを知っている。

　もっと単純な話でもいい。例えば攻城戦の行き先を決めるとき、意見がわかれたとする。
　そのとき、アマリアは一体どんな選択をするのだろうか。
　どちらか片方を選ぶのか、それとも他の行き先を提示するのか。

　しかしポポロは、それを言わなかった。
　なぜかと聞かれても、わからない。
　あえて言うならアマリアが真剣な顔をしていたから、かもしれない。
　それに、

　今はまだ、そのときではない。

　クロエはそんなことを言いつつ身を低くし、アマリアをじっと見つめる。

　次の瞬間、まるでその場からクロエの姿が消えたかのように素早くアマリアに近づいて

　アマリアの目の前、息がかかるような近い距離でクロエは楽しそうに話していた。

　クロエはそのままアマリアの髪に手を伸ばす……！

躍動の世界の事を懐かしみながら言葉を返す。

一言一言に一喜一憂しながら続ける。