[SummerVacation]
パレードが行われている海辺の街。
ロゼは賑やかな大通りから少し入った小路で、休憩がてらシャンパンを飲んでいた。

フリント領出身の主催者によって振る舞われたシャンパンは、名物というだけあって非常に美味しい。
（この味でこの産地ならば、だいたいいくらで仕入れることができるかしら…）
いつもの癖でついそんなことを考えてしまうが、今は休暇中だと思い直して、意識を大通りの方へ向ける。

そういえば、大通りから少し歩けば、砂浜に出られたはずだ。
昼間は海水浴客で賑わっていた砂浜も、今は人影もまばらだろう。
後で海風にあたりに行くのもいいかもしれない。
手持ち花火を買ってくるのもありだろう。

そうぼんやり考えていると、通りの方から、そろそろ花火が上がる時間だという声がする。
（もうそんな時間か…ユーリたちと合流して、高台の方へ行こうかな。海は、そのあとに行こう）
どこからが一番綺麗に見えるかなぁと街の地図を思い浮かべながら、ロゼは仲間の待つ大通りへと戻っていく。

切っ先の無い剣に掘り込まれたルーンが、赤く光った。