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かみさまに嫌われているから、いていい場所なんて、きっとないんだ。



わたしがそう思うようになったのは、５歳になる頃だった。

当時のわたしの家族は、いつでも守ってくれたお姉ちゃんと、引き取ってくれたおばさんの二人だった。
お父さんは行方知れずで、お母さんはわたしを産んだ時に死んでしまったらしい。どちらの顔も憶えていなかった。
けれど、お母さんは、死ぬかも知れなくてもあなたに生まれて欲しかったのよ、とお姉ちゃんは言っていた。
お父さんも、あなたを取り上げた時嬉しそうだったのを憶えているわ、と。
本当の親が居なくて、かわいそうな姉妹だという人も居たけれど、それでもわたしは幸せだった。

お姉ちゃんは少しだけ厳しかったけれど優しくて、周りを元気にするような人だった。
泣いちゃだめよ、幸せが逃げちゃうわ、なんていいながら、強気な笑みを振りまいていた。
だからわたしも、お姉ちゃんの前では泣かないことにしようと、幼心に考えたことがあった。
かみさまだけが聞いていた、わたしだけの約束だった。

おばさんは、お父さんとお母さんのいなくなったわたしたちにとって数少ない親戚で、
お母さんの葬式のあと、私たちを成り行きで育てることになったと言っていた。
彼女は、私たちを愛してくれてはいなかったのかもしれない。
けれど、少なくとも一緒にいることを面倒くさがったり、私たちを疎んじたりすることはなかった。

わたしは、幸せだった。
何も知らなかったから、幸せだった。

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