俺は酒も煙草も基本的にはやらない。
特徴的なニオイ等はそれだけで人にイメージを与えてしまう。
例えば、お酒だ。
アルコールの臭いって言うのは慣れてしまった人間にはそうでもないモノだが、慣れてない人間には少々咽るような感覚にもなったりする。
煙草の臭いなんていうのは言わずもがなである。
吸う煙、吐く煙、その両方が体にまとわりつく。
纏わり付いたニオイはその人がそれをやっている人間なのだと単純に教える。
簡単な情報公開の一つだ。
商売柄、相手にそういう趣向の一つすらも情報として先手を取らせないのが俺の仕事である。
故に少々この【相棒】の存在は厄介だ。

【長年連れ添った相棒】

という記憶がある。
このフィーリという【相棒】は俺の趣味趣向をよく知っている。
俺と同じように記憶を埋め込まれているのか…はたまた演技をしているのか。
どちらにせよあの青い鳥＜ブラウアー・フォーゲル＞が用意したものだろう。
厄介だ。
いっその事、犯して口を割らせるか？

【——いや、アレは悦ぶだけだな。】

そう理解出来る。
それでは意味が無い。
まるで楽しみの欠片もない■■■■■だった。

思考に雑音が混じる。
時折あるこの雑音が酷く不快で仕方はない。

そう呟く背後の少女の姿をしたモノの声は無視した。

そう言って、エレネは必要な部品を簡単にリストアップする。