やれやれ、どうやら運は右肩下がりのようだな…

困ったものだ。
個人的には、余り面倒な連中とは遭遇するのはお断りだったんだがな…
いや、
コレはある意味『いい機会』かも知れないな。
所謂、盗賊な行為をする元・同士というか…見方によっては王を討伐する為に役に立たない弱者が持っていても仕方のない宝を有効活用しようと奪うという最もこの一揆に相応しい行動なのかもしれないな。
だが、
どれくらいの奴がそれを許容するかだ。
恐らく善意…失礼、少々笑いが…
その善意とか言うのがある奴らは許しはしないのだろうな。
そこで恐らく、カウンターが入れられる。
抑止力とでも言うべきか…
つまり、何が言いたいかといえば
ここで生き残れれば俺は『被害者』になれると言うことだ。
そう言う行為をされた『可哀想な恵みべき被害者』の出来上がりという訳だ。

これは、面白いかも知れんな。

他のメンツがどう凹んでどうされと構わんし、気にも止めんが
この襲撃、準備足らずな俺が勝てる見込みは少ないが好機があらば勝つが、
向こうも身支度用意周到というところだろうし負ける事は重々承知としておこう。

そうだな。

誘いは少しだけ大胆だっただろうか、厚かましかっただろうか。
不安げに相手の表情の変化を瞳はじっとライアーの表情を眺め。

名前を、呼ばれて、まず嬉しくて笑顔になり。
手を繋がれて、顔を赤くして、慌てふためき。
行先が甘味屋だと気付けば、そんな慌てた自分に恥じた。

差し出されたものは、本当においしそうに見える。
今の時期、暑いものだから余計に、だ。
ただ、鞄の中から財布を出せば、その中身は——この世界で使える通貨ではない紙幣や硬貨ばかりであり。パワーストーン、と言った後に首を横に振った。

そんな会話をしている間にも、アイスキャンディーは溶けていく。
慌てた様子で——結局、返事をきかぬ間に。
相手の手に、まだアイスキャンディーがある状態にも関わらず、あむ、と咥えようとし。

そう言って少女は頭を下げた。
礼は人との交流の上で欠かせないものだと思う。
その礼を意識するこの人は……きっと、良い人なのだろう。

それに、商人。
生活雑貨を扱っていると言う事で、でも

ただならぬ雰囲気を感じるのだ。
ともすれば倦怠と絶望の環に居る自らと近しい何か。

そう思った少女がそれを言葉にしたのは何の因果だっただろうか。
結局の所、彼女は諦めきれていなかったのかもしれない。

少年は無表情のままゆっくりと息を吐き出し。

特に躊躇う様子もなく淡々と言ってのけた。

青年は青年で微笑を浮かべたまま相手に問う。
どうやら、とことんマイペースな2人組のようだ。