昨日の話。
パーティーでで適当にあしらったはずの相手がこちらをじっと見つめながら話しかけてきた。
今までも何度かこういう事はあった。
でも、そういう時は往々にしてフィリカかヰルが連れて行く。
たぶん、餌にでもなってたんだろう。

その日はなんとなく。
ちょっと面白いかも、なんて思って暇潰しをしてた。

呆れながらもアルラウネは懇切丁寧に説明をしてくれた。
そういえばエンブリオと契約なんて説明された気もする。たぶん、聞いてた。

首を傾げる彼女を尻目にネクターに口付けをする。
捧げる前に誰が契約者かを刻みこむ為だとか言っていたが多分嘘だ。
ネクターに口付けをする光景をなんとなく嬉しそうな笑顔で見てるから趣味だろう。

大仰に手渡したネクターを受け取りながら、反対側に同じようにそっと口付けを返した。
これで、契約は完成。
冗談で言ったつもりだったけど、意外と満足そうね……


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「おかあさんってすごいね……」

『あらあら…急にどうしたのかしら♪』

「だって…とっても強いから？」

お母さんが男の人をあっさり倒したりするのを見ててずっと思ってた。
なんでこんなに強いんだろう、何が違うんだろう、とか。
なりたい、っていうよりは多分憧れだったと思う。

『ふふ……内緒だけど、ゆえちゃんには教えてあげますわ♪』

「…？」

『欲のままに頑張る私には、悪魔の加護がついていますから♪』

「あくま？」

『そう♪善行のみを良しとする天使よりは随分頼りになりますから♪』

「そう、なの……？」

あんまりわからなかったけど、私だけに教えてくれた事は嬉しくて。
ずっと印象に残っている。
私にも、加護があるのかな……



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嘆息しているオルガに対し、ヴォーグは大変感心しているようだ。

しばらく、じっと見ます。
そうしてから、小さく息を吐いて、口を開きます。

へんなことを言ってごめんなさいと、ぺこりと頭を下げました。

そう言って黙り込みます。
なにごとか、考えごとをしているようです。

いただいたお返事に答えてから、次の言葉を待ちます。

子供を撫でるように、なでなで。

頭を撫でるのをやめ、今度はその頬を弱く引っ張ろうとする。

とは言え話は聞いてくれるようなので、そのまま話を続けた。

少しだけ凄んでみせる・・・迫力は無いが。

うーん、と首をひねる。
割と真面目に考えこんでいる風にみえる。

恥ずかしげにわずかに俯いた。

はぁ、とため息を付いた。

あなたをじっと見つめて、おや、と首を傾げた。

そう言って少女は笑みを深めた。

しかし、ゆえから此処にいる理由を問われると、その笑みはすぐに消え去った。
そして幾つかの表情を経て、最後には苦笑の形を作ったのだった。

だから気付けば此処に居た。

と、少女はそう答えた。

それは本来は言うべき事では無くて、たまたま行き逢ったゆえにこそ言えた事。
だから、少女は少しすっきりとした表情で優しく言った。