真顔になったあなたに視線を受けると、釣られるように表情が強張る。
　「何でしょうか」と促す声色には、伺うような色が帯びていた。

そう挨拶して来たのは、縁あって同行することになった少女だ。
歳は十代の半ばほどだろうか。
年齢のわりにはよく鍛えられており、幼少からの積み重ねを感じさせる。
もっとも、単純な歳月の積み重ねで言えば、君に比肩する者などいない。
あくまで年齢のわりには、という評価だ。

しかし彼女は挨拶の後、君を値踏みするように見た。
多少は優秀なだけの、ただの人間が。
定命の者が、龍たる君を不遜にも計っているのだ。

何よりも。
彼女は君を計った上で、力ではなく経験を頼ると口にした。
値踏みして、見透かした。
これを屈辱と言わずして何と言おう。
ひとまずは、攻城戦で力量を見せつけるべきか————。

答えを得た。
けれどそれは、きっと始まりでしかなくて。

答えをくれぬものに、挑むために。
答えなんてないものに、抗うために。