あら……私の姿が見える珍しい方もいるものですね。
声まで分かるんでしょうか？

「へぇ、そうか。珍しいっつうヤツもいたからよ…住んでる地域によるんかね。
にしても何だそりゃ、遅れてんなぁそいつら。文化レベル低そうだな…
俺の"世界"でも互いに人間と獣人を区別はするが、同じ"ヒト"って認識で接してるんだ。
価値観や概念の違いで衝突する事も少なくはないが、もうすっかり根付いちまってるからいい感じに付き合えてるぜ」

「ああ、いいぜ。っつっても俺自身があんまし奥のエリアに足を運んでねぇから
噂やそっからの憶測を交えてって感じになるがよ。…新しい地域といえば…竜の山？だったか？
そんな物騒な名前の場所を見つけたっつう話は耳に届いてるな」

「エンブリオについては研究棟に何か面白い手掛かりがありそうな気がするんだよな。
俺は近日中にそっち方面に向かってみるつもりだ。アンタはドコを目指してる感じなんだ？」

「…おいおい、俺ァ人間のメスにゃあんまし興味ねぇぞ？
可愛いかどうかの基準もよく分からねぇしな…アンタの益になるような情報は
残念ながら提供できそうにねぇなァ、ハッ」

「…実に正直でよろしい、気に入ったぜ。まぁ事実だからな。
どの程度の力量の持ち主かは毎日更新される"評価値"を見れば大体分かる…
やる前から結果の見えてるゲームはつまらねぇからな。相手の遊びの腕次第では面白くはなるがよ」

「おう。どっかで会ったら遊んで貰うとするかね。…油断して刺されんなよ？」

　どこまでも続きそうな階段を駆け上がる二人。
　やがて、魔物の群れに遭遇した。

　勢いを落とさず、そのまま疾走。
　両手に大型のククリを持ち、全力で挑む。

　ククリを収める——それと同時に、化け物の身体が寸断された。

　化け物の亡骸から素材を腑分けする。
　——損傷が激しくて、使えそうな部分はあまりないようだ。

　両の手に短剣を握り、ひたりひたりと歩み寄る。