夜。それは、真っ暗な部屋の中。

月の光を薄く返すような光沢の、柔らかなカウチ。

体重をいくらかけても軋まないそれに、静かに横たわる。

どこまでも黒いエナメル質な革が、雫に濡れた。

濡れたそこはてらてらと煌き、小さな水滴を作って消える。


「闇ちゃ？」


ティーチェは初めて、闇豹が泣く姿を見た。

大声だとか、呻き声だとか、鼻をすするような音は出さない。

ただただ、浮かべた涙が淵から零れては肌を滑る。


「痛い、いたいですか、闇ちゃ…」


どうにかしてあげたいとは思うものの、深海の娘にそれは難しい。

赤毛の彼女は首を振りもせず、視線を伏せている。

まるでそうする為に生まれてきたかのようで、不安を駆り立てる姿だ。

はいともいいえともつかず、涙だけが音を立てた。

ぽたり、ぽたり、ぽたり。

物語らぬ唇の代わりを務めて、緋色の瞳がゆっくりと語る。


「悲しい」　　　　「とても」　　　「悔しい」

「ごめんね」　　　　　　「身体は痛くない」

　　　　「大丈夫、痛くない」　　「ただ、今ここにある身体じゃなくて」

「心が」　　「胸のうちが」　　「とても」　　　「とても苦しいだけ」


ヤギと同じ眼を持つ娘には、聞こえたのだろうか。

言葉にすらならない水の音が、そう語るのを耳にしたのだろうか。


ティーチェは生まれて初めて、人の悔やみを埋めようと、何も言わずに抱きしめた。


食事を作ってくれる腕が、

何も出来ずにいた時に、おぶってくれた肩が、

思っていたよりも、ずっと細く、華奢であることに、

ティーチェの内側から何か、そう、何か、意識の深い底から、

冷たくも大事にしなければならない感覚が、溢れそうになった。


（人は死に向かう生物である）

（生きていれば必ずたどり着かねばならない、ひとつの点）

（それは人じゃなくても同じ）

（死は深い）

（肉体が滅ぶだけが、死ではないにしろ）



（きっと、悔しかったのだ）

別の人です。

過ちにつづいてる　気がする　勘違いロード（続けた

ばさっ、と両羽根を広げてポーズ。びみょーに頭の羽先震えてますけどね

耳にはふぅん、といった様子。興味深そうでは在るようだが。

何を想像したのかへんな表情をした・・・ような雰囲気がした。

おっと、言葉の意味が通じていない。

チュチュに見上げられて少々苦笑を浮かべながら
レイはそんなことを考えています。

人間21まで身長伸びるとか言うけど…闇豹ちゃん終わってる？

見たい表情をさせるとついつい笑みが深くなる。
口角を上げ、闇豹を覗き込み金眼を光らせた。