ああもうどうしてコイツはいつもこんな態度なの！
デイジーは舌打ちしたい思いだった。
本当はこんなお馬鹿さんにいつまでも構っていたくない。時間がないのだ。


ケット・シー（では無いらしいがデイジーはよく分からなかった）のリラとあのガルバート？とかいうフォッセグリムの2人は
グレンダを元の世界に戻すつもりらしい。
いつかこっちに帰ってくるような口ぶりだったが、問題はそこではない。
彼らは“本物の”グレンダ・カートライトを生き返らせたいらしい。それには“お姫様のグレンダ”が邪魔のようだった。

ふざけないで、と思う。
元のグレンダのことはよく知らないが、今のグレンダのことならよく知っている。
寂しかったデイジーを最初の相棒に選んでくれた人で、
あのスターみたいなどんな捻くれたエンブリオとも仲良くなれる人で、
自分には関係ないのにエンブリオやメルンテーゼの問題に悩んでしまうような人なのだ。

占星術師は静かに笑う。
グレンダの悩みが、とるに足らぬ事であると示すが如くに

彼女は一旦そこで言葉を途切れさせる。
まるでこちらに考えさせるかのように。

絶句する君に向かい、続ける

グレンダに敵対する者はそれを利用し、彼女を政治的に葬り去ろうとするかもしれない。
だが、その証拠品は全て回収してきた。ならば問題ない。

星詠みの魔術師は語り続ける。
その言葉は熟れた果実のように甘く、蠱惑的で。
そして危うい。