あくるひ、猫はやまにきていました。
それもひとりではありません。


ですが猫のようすはどこかよそよそしく、したをむいてみんなとすこしきょりをおこうとしているようです。
——あまり猫とかかわりすぎると、ふこうにしてしまうかもしれないから。



やま。
猫にとってはおもいでのあるばしょです。
ししょーとやまでしゅぎょうにきたこと。
そのあと猫のぐあいがわるくなり、じぶんのせいだとおもいなやむししょーにそんなことはないとしょうめいするためにひとりでしゅぎょうにきたこと。

あのときは、けっきょくししょーとセバスチャンもかけつけてたっぷりとおこられてしまいました。



こんかいは、ししょーはいないし、かけつけることもないでしょう。


『………。』


猫はだまったまま、みんなについてやまをのぼっていきます——

何故かすげぇ胸を張った。

すっげぇ胸を撫で下ろしたが、ししょーに口を挟まれて愕然とした表情に。

うむむ、と頭を抱えて唸ったが、ふと吹っ切れたように、

まずはここから、と言わんばかりにロクをジーッと見つめ始めた。

じっと見つめるその猫をただただ静かに見返して。

そもそもこの世界の者でも無いから、この世界の理念は知らないんだ、と、——自ら別の世界から来た事を案に告げて、一呼吸置く。
彼の命の創られ方までも知り得ている訳ではないけれど、『もし』の可能性を見定めて。
その不思議な生命である彼を、否定しないと、ただ告げる。

だから気付いたのかも知れないね。

とても興味深いもの、と、白いのは一歩近付いた。……と、こほんと咳払いして。

間引くだのなんだの言った矢先だと気付いた白いのはほんの少し、笑ったようだ。

ボードに書く小さな手に指先を乗せた。
生命そのものに耳を傾ければ、その声はわかるかもしれないと龍は思って。
その声を聴いてみたいと、思った。
するかどうかは、彼に委ね、さて聞こえるかわからないけれど——

おおぜいのてきにであってしまい、パニックになっているようです。

あんしんしてきがぬけたのか、そのばにへたりこみました。