初めて見る相手に後れを取ったのは、これで二度目だ。
今回は倒れこそしなかったが、随分と裂傷を負った。
その結果。

トモはべっとり身体を押し付け、尻尾で肌をやわやわと撫で続けてくる(凄くくすぐったい)。
和人形は、どうも背後に待機している気配がする(何処にいるのかまでは分からないが)。
アマハルの独り言が止まらない。

キヨは血を洗い流した後は御役目終了とばかりに引っ込んでしまい、
ヨドは治療に関して自分に出来ることがありません済みません、と少々落ち込んでしまっている。
河童はどこかへ行ってしまい、まだ戻ってこない。
クマちゃんは無関心で、おケツはトモに任せると言って、クマちゃんに引っ張られていった。
ヤヒロは切り傷の生々しさにドン引きしていた。
その後、「あなたが不用意に怪我するとハルちゃんのあたしに対する評価がガタ落ちして大迷惑なの。
ちゃんとなさいよねこのウスノロ！鈍くさいんだから！」と言い捨ててどこかに行ってしまった。
迷惑をかけた自覚はあるので、ティムラハは大人しく彼女たちの治療とお節介と言葉を受け止めた。

包帯をぐるぐると巻きつけていたアマハルの手が止まる。
包帯の先を裂いてひも状にし、縛って止めると終わったぞとばかりに腕(患部)を叩いた。
途端びりびりと広がる痛みに泣きそうな顔をすると、アマハルは溜息を一つ吐く。

---

これこそご都合主義かもしれませんけれど、と笑いながら付け加える。
王、という言葉には視線をさまよわせ、少しだけ瞳が揺らいだ。

青年の言葉はそのまま今の王の行動だ。
少し寂しげに笑い、そして首を傾げ。

相手の表情の変化に気づけば、少し遠慮がちに問う。不謹慎だっただろうかと。
流石に何度目だろうとちょっとどうしようと視線をさまよわせる。

お節介を焼く青年の言葉を至極真面目な表情で聞いて考えている。
言っている意味は理解している様だ。
ただ、難しいですねとつぶやきながら、少し楽し気に。

動きが止まったヨドへ、大丈夫ですよ、
と言いたげに笑いかけてそっとまた撫でる。

箱入り、の言葉に二人顔を見合わせた後。

結構切実な瞳でティムラハと河童を見た。

納得した。と言いたげに。引っ張ろうとする熊をじいと見つめつつ。

そういえばエンブリオって多種多様だな主との付き合い方も、
と思えば納得した様子で。確かエンブリオに頭丸かじりにされてる人も居た気がする。

聞き返され、ぬいぐるみの体を軽く傾けるようにして。

最近発散できないんですが。とぼそり付け加え。