一揆参戦9日目！　〜水辺の記憶・下〜

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突如私達の目の前に現れたカッパ。
しかしその両手には確かに二刀が構えられている。

目の前のカッパはそう言い放った。
これより先、と言われてもここはただの川である。
この先といってもあるのは上流だけのはずだが、一体何があるというのだ。

私はふと金の鎧を見上げた。この男の意志によっては今ここで争いが始まってしまうからだ。
私としては今すぐにでも引き下がって面倒事から逃れたい気分なのだが。

しかし金の鎧は構えを解かない。
まさかこんなところで本気でやりあうつもりなのか！？

金の鎧は少し驚いた様子で私を見る。
そしてほんの少しの間を置いて槍を降ろした。

良かった。
私は肩を撫で下ろした。
ユリアと別行動している今、下手に戦いをするのは下策である。
金の鎧は踵を返し、ほかの同行しているエンブリオたちも同じくそれに続いた。

———ただ一体を除いては。

もちろんその異変に気づかない私達はそのまま足を進める。
カッパもまた、金の鎧が下流へ歩んでいくのを見ると二刀をおさめ再び川の中へと姿を消した。

その時である。

ふと左に……川の流れに目をやると、何やらキラキラと輝いているではないか。
初め日の光に反射して輝いているのかと思いきや、それにしては輝きすぎている。
これは———

金色だ。
まごうことなき金色が流れている。
ぎょっとして背後を振り返ると、キンイロヒカリゴケが川べりからはみ出して半分水面に浸っているではないか。

金の鎧がそうつっこむ間に、キンイロヒカリゴケを中心として川の水がみるみる金色に染まってしまった。
上流から透明で清らかな水が流れてくるが、途中からことごとく金色の水に変わってしまっている。
下流方面を見れば透明な部分など一切ない、金色の川だ。

私達が金色の川に驚愕していると、再び水面から水の跳ねる音がする。

先程のカッパだ。
だが先程までの深緑色ではない。
全身を金色に染めている。
その特徴的な頭の皿の隅々まで。

戸惑いの声を上げる。無理もない。私もああはなりたくないものだ。

金のコケが不気味に揺れている。
「完全」とはなんの事だ……？

なんということだ、カッパが再び二刀をかまえてしまったではないか。
自慢の二刀まで金ぴかに染まっているのは何とも眩しいが、
せっかくお互い戦わずに平和的な展開になっていたのに、いったいなぜこのコケはわざわざ相手の戦意を煽るような真似をしたのか。

最初は一瞬コケに疑問の目線を向けた金の鎧だが、その後相手の戦意を悟るとすぐに槍をかまえる。

カッパが金の鎧へと脚を進める。
金の鎧も、同じく。

まったくどうしてあっさりと闘争をはじめてしまうのか。
今のは明らかに相手を煽ったこのコケが一番悪いはずだ。
正直私はなるべく面倒事には巻き込まれたくない。
このまま戦えば間違いなく私に被害が飛び火するだろう。
金のコケのせいで被害を被るなどごめんだ。

私が口を開いたとき

頭を劈く甲高い声が響く。
その声に、対峙していたカッパと金の鎧の意識もそれる。
今度は何だというのだ……

声の主は上流方面。
カッパの後ろいるあれは……

ええーーーあれがパロロコン！？

えっ

いやいやいやいや龍王ってどうみてもあれ蛇……にすら見えないなにあのゆるいの！！
あのカッパ騙されてるんじゃないのか！！？

しかもなにやら目を輝かせているぞ……

やばいこっち見てる。超目光ってる。

———え？

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To be continued...