※┌（┌ ＾o＾）┐ホモォ注意
って前回書き忘れたのですが、そう言えばコイツ男でも女でも無いから厳密には違うんだよね。
と言うことに気付いたため、注意文はやっぱり無しの方向で（　







ほんの少し、空が白み始めたころ。

「エイル、まさかとは思うのですが…」

繊細で、意外と傷つきやすい弟のことなので、

下手に触れるのは気が引けたのだが、

どうしても気になったので

「本当に、俺に会いに来ただけなのですか？」

突っ込んでみた。

「……。」

視線を反らすどころか、露骨にあらぬ方に顔を向けた。

大抵の者は、沈黙は肯定となるが、

素直で正直者の弟の場合、それは反対となる。

つまり、言いにくい理由があると言うこと。

「…気付かなかったのか？」

しばしの沈黙の後、ようやく口を開く。

「何にです？」

首を傾げれば、またエイルの目が泳ぐ。

「…さっきので、解いたんだが。　僕の術。」

彼…時間と空間を司る唯一の精霊、エイルシェントが、自分にかけた術…

「…あぁ、あの呪いですか。　さっきのキスで解けたのですか？」

すっかり忘れかけていた、とある呪いを思い出し、思わず両手を合わせる。

突然の弟の訪問と、さらにキスによる不意打ちで、呪いが解けたことなどまったく分からなかった。

いつかけられたのか分からないまま、つい最近になるまで気付かなかった、性別変化阻止の術。

自分に干渉できるほどの力を持つ術士といえば、兄弟のどちらかしか思いつかない上に、

兄も、その昔自分と共に時間に関する権限は一切手放していたため、結局は弟ただ１人となる。

しかも、自分はつい100年ほど前まで封印されていた身。

兄の、精霊神の力による封印に外部から干渉するなど、自分達を生み出した女神でさえ不可能なこと。

どう考えても、自分が封印される前…故郷ではとうに御伽噺になってしまった時代の話である。

「術者が貴方なのは分かっていたのですが、
　俺が気付かないようにこんな大きな術をかけるなんて、いつの間に…」

女神から直接生み出された自分は、配下の竜達や他の生物のような睡眠による休息を必要としない。

異世界よりの侵略から、世界と女神を守るため、戦うために創られた自分達は、

どんなときであろうと迎撃できるよう、非生産的な時間を取る必要の無いよう創られたのだ。

そんな自分が意識を、それこそ、エイルのみが傍にいる場所で手放すようなこと…


一度だけ、あったような気がします。


思考のするときの癖で虚空を見上げていた視線を弟に戻せば、

いつの間にか正座になり、さらに視線を反らしていた。

「…あの時ですか。」

小さく息をつけば、しぶしぶと頷く。

何故術をかけたのか、何故解いたのか、ここまで来れば想像は安易で。

しかし全てが過去となった今、それらはほんの些細なことで。

「…ゴメン。」

視線を地に落とし謝る弟に声に、思わず噴き出す。

「エイル、俺は怒ってなどいませんよ。」

不思議そうに、ようやくこちらに目を向けてきたエイルに、続ける。

「先ほども言いましたが、術をかけられたなんてまったく分からなかったのですし、
　性別を変えられないことに気付いたのも…つい80年前のことです。」

先ほど解かれた上に、もうすっかり時効である。

「それに、この身体だったから、得られたものもありますし、ね。」

変えられないからこその不便、

中途半端な身体であったから出会えた人々、出来事、

そんな自分だから愛していると言ってくれた女性…

もしあの術をかけられていなかったら、すべての経験、思い出は全く違うものになっていただろう。

「貴方のおかげで、素敵な思い出を作ることができたのですから、
　感謝こそすれ、怒ることなどできませんよ。」

「それでも…ごめんなさい。」

幾年もの間、１人で悩み続けてきたのであろう。

気付かれないうちに術をかけたのだ。　その逆もできたであろう。

事実、意識があってもあの不意打ちの中で気付けなかったのだから。

「いいのですよ。
　術をかけてくれて、解いてくれて、正直に話してくれて、ありがとう。」

それでも、うやむやにも、無かったことにもせず、

正面から向き直り、正直に罪を告白した弟が、とても誇らしく思えた。

こいつ、気がついてないっ！！

＞ガルさん

>ティシア＆エレアナ

*さらさら滑る様にエレアナの髪を梳いていく*

*小さい声とは裏腹でこの子目が本気だわ*

*こそっと小さく耳打つ。年頃の子の悩みを打ち明けるには、男性を交えるこの場はやや相応しくない。せめて一旦彼女が落ち着ける場を作ろうかと声をかけた*

ケタケタと笑っている

*何かを発見して嬉しそうだ*