[ side of Krisna　]

いつものメンバーとは違う道程となった。
でも景色は変わらない。前にみた光景のちょっと先に来ただけだ。

私は夜にこっそり抜け出した。

エンブリオの魂が私を導く。
ユニコーンの魂は物言わず、蛍の光のように明滅しながら行き先を照らした。
寒い夜の淵を覚束ない足取りで。迷子になった心持ちで辿り着いたのは。

墓場だった。
朽ちた木片や石を積んだ簡易の墓が密集している。
ここで過去になにかあったのか。永眠する場所に気を払わない地域なのか。
わからないが、そこは墓所だ。管理もろくにされていないように見える。

私はその前で立ち尽くした。

「あの娘は、どこに？」

エンブリオは半実体の姿で首を振り、頭を下げた。
ひとつ、ひとつの墓には名前もない。死体が眠っているかも疑わしい。
ただ亡くなった証だけがそこに飾られているように。

「あの娘は、」

声が震えているのがわかる。
ぐっと力を篭めてつぶやいた。

「もう、あの娘はいないの……？」

エンブリオは応えない。
ただ光が瞬いて、消えた。