□ Day 15 ： 涼やかな風が吹く森の中で

　アタシは護りの森と呼ばれる場所の、少し深いところに来ていた。
　なんでも別行動してたチュンちゃんがあるエンブリオと契約したくてやってきたけど、お目当ての子が見つからなかったらしい。
　それなら合流してもう一回探してみよっか、という話になったのだ。
　チュンちゃんの先導で森に入り、エンブリオが見つからなかったとゆー地点から進む。
　すると驚くほど簡単にあの子が気になっていたエンブリオ、ドライアドが見つかったのだ。
　一緒に探そーと声をかけてきた、同じ一揆参加者のヴィルヘルムくんとちまりちゃんと共に敵の軍団を見つけて攻撃を仕掛ける。
　その二人のおかげもあってか、時間はかかったけど誰も倒れずによーやく契約へと漕ぎ着けた。

　カッパくんはそう話したあと、契約してくださいと言うよーにアタシの背中を押した。

　爪の生えた小さな手に押されながら、その勢いに乗る形でネクターをドライアドの顔の前に掲げる。
　アタシの契約してくださいという言葉ににこくりと頷いたドライアドは、緑色の綺麗な光に包まれて……

　戦ったときとはまるで違った、緑色の肌に樹皮のよーなゴツゴツとした手足の、細い男の人の姿になった。


　エンブリオは契約すると、元々の姿から大きく変わることはよくあることだって聞いたことがある。
　それはアタシもギンゴと契約したときに経験している。ヒツジが虫になるのに比べりゃそんなに衝撃的なものじゃないけど……

　波のよーに頭に飛び込んでくる、全く知らない言葉の羅列。

　次にドライアドが話したことも、全く理解できなかった。

　即答。

　少し悩んでたふうだったけど、ドライアドはネクターを掲げたときと同じよーにこくりと頷いた。

　そーアタシが言うと、先輩エンブリオたちから『それもそうねえ』とか『お任せします』などの意見が飛び交った。
　視線でみんなをちらっと確認したあと、そろそろここから出よーとしたとき、ケースがいきなり、

　抱きついてきた……

　突然の出来事に、口をパクパクさせることしかできなかった。
　石にされたかのよーに固まったアタシの体を、ケースの人間とは違う手が優しく包み込む。
　前からは人肌のよーな柔らかくて暖かい感触、　後ろからは古い樹のよーなゴツゴツした感触。
　そっと彼の胸に頭を預けるような体勢にされたので、今までいっぺんに感じたことない奇妙な肌触りのものに挟まれ不思議な気分だった。
　さらに初対面の相手にいきなり抱かれたときたら……！

　ケースの息使いが、ケースの声が間近で伝わってくる。
　すると心臓がバクバク音を立て始め、全身が真っ赤になりそーな気持ちまで感じてきた。

　やっぱり何を言ってるかわからなかったけど、ケースはとても優しく、落ち着いた口調で話してた。
　まるでアタシのことを気にかけてくれる、お兄ちゃんのよーに……

　知らず知らずに、涙が溢れていた。
　それに気付いたケースがより強くアタシを抱きしめたこともあって、5分以上はエンブリオの胸の中で泣いていた。

　あのときはただ、彼に甘えたかっただけだった。

気絶させてしまったようだ…

そういうと…
▼シトロンの行動！
スパーク！！

いまさら、語尾に星をつける勢いでカワイコぶっても意味がない。

とてつもなくいいタイミングで返事をしたように見えたスズメだが、絶対に何も分かっていない。

不評というレベルではない気がするが。

なぜギャップ萌えなのか。

きっとわかっていない。

とてもうろたえている。「寄生リスト候補」手帳はよほど不都合なものが書かれているのだろう。
ちなみにワイフは↓こんなにんじんである。

アサミの背中に隠れる。

[>槌の柄を強く握りしめる。