あの格好、新王の軍隊か？

それにしちゃお守り付かよ
高貴な身分でいらっしゃるのかねぇ

情報交換させてもらいましょうや

所謂、女子供の範疇に含まれるが、こんなところに居て
尚かつ刃を向けてくるような輩に手加減してやる道理もないな。　
イヨル。抜かるなよ。お前のポジションが一番危険だ。
いつもの事だが。

……

あ、あはは。まあ、うちの世界の学者さんでも「自分の思った有り様こそが世界である」
だなんてまとめちゃった人もいるくらいですからね……。
それただのお手上げ発言じゃないのって総ツッコミされてましたけど。

「まあ世界なんてのはそこにいる人が好き勝手に決めちゃうものなの、さ」「おっ深い」
「そう？」「実際俺たちくらいになると世界とかよくわからんしな」「サイズ的な意味で」
「零落に乗ってるだけで毎日世界変わるよね」「世界広ーい」

リドレーさんが望遠鏡で夜空とにらめっこしてる姿、ちょっと想像できないな……。
あっいえなんでも。へえ、お伽噺がある、なんてところはどの世界でも共通なんですね。
「なにリドレーさんにも子供の頃ってあったん」「半分ぐらいにはちっちゃかったりした？」

ううん、技術が発達してるのに争いが絶えないっていうのはなんというか、切ないなあ。
未知への興味、そういう意味では確かにうちは幸いだったかもしれません。
ちょうど情勢が落ち着いた頃に異世界が見つかって、興味がそっちに向いたんですからね。

「おっなんだなんだ」「意味ありげな視線」「これはぶんみゃくからさっするに」
「察するに？」「すごい機密事項なんだぜきっと」「不思議パワーすげー」

そうだな、基本的には同調している。
契約に同意して、互いに助け合え、力を得られる関係なら、な。
まぁ、何事にも例外はあるのだよ。
主に歯向かい、己が群れのボスに成り代わろうとするバカ犬とかな。
上手く渡り合える奴もいればどうにも下手な奴もいる。

私のところはあまり上手くいっているとは言い難い。
お前のところは、どうだ？
とは言っても静かなものだから面倒なことも無さそうか。
物言わぬ墓標を管理しているお前は、まるで墓守の様だ。
学者の様でもあるけれど、な。

此処、メルンテーゼは分割世界のうちのひとつだ。　
我々は自分達が住む世界の他に外に似たような違う世界が
いくつか在ることを知っている。
実際に見たことも赴いたことが無くとも文献や伝承で知識
として、そういうものだと知っている。
分割、と称されるからには元は同一の物であり
それを切り分けたものだということなのだろう。
断片に様々な方向に力を加え、別々の発展を遂げるように仕向ける。
その辺りは神々の実験だと言われているな。

推測だが、人間はそのオリジンとでも呼ぶべき世界の
大きな構成要素だったのではなかろうか。
そして分割された世界間は他よりも近しく、道も繋がりやすい。
もしくは、そもそも他とは繋がってはいないのかもしれない。
お前の世界も、数多在る分割世界のひとつなのではなかろうか。

ああ。どうにもややこしいものでな。便利そうには見えるのだろうが。
人の世の法ではない、それ以外のモノに関わる法、だからな。
多少は分別されてはいるものの、あまりにも範囲が広大すぎるんだよ。
とりあえずの目印をつけてそこにしがみついてどうにか暗闇を手探りしているようなものさ。
まぁ、覚えておくよ。何かわかったら知らせる。

しょ…しょぞく、そしき…？

なんかよくわかんねーけど、名前はアールって言うんだ

なんかうちの兄貴と似てるなこの人……

人間なのはまあ、わかったけど…
異世界ってなんだ？

あんたも初めて外の世界にきたのか？

俺もなんだ
おっさんの故郷ってどんなとこなんだ？

なんだか色々苦労してきたっぽいねえ。
まあ平和が戻ってきたらそのときはそのときでやれることはあると思うよ。
壊れた建物やら荒れた土地やら、使えるようにしないといけないものはいくらでもあるしね。

……うーん。それはちょっと僕じゃ分からないなあ。
いやね、実を言うと僕自身が特殊な技術や力を持ってるワケじゃないんでさ。
狙った特定のどこかへ行くってことは出来ないんだよね。風任せって言っても過言じゃないよ。
ま、リドレーさんの故郷に何か美味しそうなものでもあればそこへ運ばれることもあるかもしんないけど。

そうそう、クリスちゃんまだ若いから。ご無礼は許してくださいませ、おじ様。

はっ、そっちこそ無駄に歳を喰って偏屈で凝り固まって柔軟性がなくなってるんじゃないですか。

貴方の部下になった者達はさぞかし苦労していたんでしょうね。

うーん……ごめんなさいねー。クリスちゃん、私の事を無視されたのが気に食わなかったみたい。

「戦争は政治的判断で行われる」と書物で読んだ事があるけれど、それに従うならば、双方の思惑を上手く摺り合わせた場所が落とし所になるのだろうね。
当然双方が全てに納得している訳じゃないだろうから、消えない火種のように燻る事も考えられる。
そして、そういう思惑が無い人達は……もし仮に戦争そのものが目的なら、きっとその結末は凄惨なんだろう。だからそういった書物には記されないのかもしれない。

対外的な物も勿論あるのだけど、私の家——リント領主の家では、幾つかの条件が重なった時に限り、女子は男子として振舞うよう定められているんだ。
だから、その振る舞いが自然であればあるほど良しとされる。役割を果たす上でも重要な事だから、初対面で男子と見られるのは都合が良いのさ。

すまんな。これを渡しそびれていた。

逢引の邪魔をしたようだ。悪かったな。
拳で詫びてくれよう。

分かりやすい奴らだな

分断して、潰す

ふん、わかりやすくていいな。
手間も省けて嫌いじゃない。

白だの黒だの誰の葬式でぇ

せっかく人に会えたのに・・・・

今は余計な要因は不要です、いきますよッ！

どう見ても我々が「華やかな庭園に闖入した強盗」だな。
終わったことは仕方がないが。

さてさて。
育ちの良さそうなお坊ちゃんには色々と囀ってもらいましょうかねェ？
女。お前もだ。

・・・退きますよ、ドロワ。それと・・・・・手を抜きましたね？

そ、そんなことないってばぁ・・・・・やだなぁ。
っていうかリーゼロッテもそうじゃないかぁ！！

私の場合は特殊だということは知っているでしょう・・・？
・・・まったく、カーナルド様の血を継いでいながらどうしてそんなに不誠実なの・・・・・もう。

うーん、・・・リーゼロッテの血も継いでれば良かったのかもー！！

しししっ・・・赤くなってんの！！
もう先に進んじゃおうよリーゼロッテ、今は時間も大事でしょ？

そ、そうです・・・ね・・・・・
ギルさん達とも合流しないといけませんし・・・・・行きましょう。

回収するぞ。

流石に匂うな

む。アレは……

嫌な空気だ。何が起きても良いように備えないと。

……ンだァ、ココは？シケた場所だな、オイ