・「ぼく」の日記

トキサメ、と名乗る女の人と、ひともんちゃくありました。
この暑い中で、全身を黒い服装でそろえているのがとても印象的で。
ありていに言えばとてもじゃないけど見てられなかったです。暑くないのでしょうか。

とてもじゃないけど見ていられないと言えば、最近、とんでもない事件がありました。
ぼくたちが参加している一揆、これはつまり、今の王さまへの反乱なのです。
あたりまえですけど、反乱しようとするぼくたちと、押さえつけようとする王さまたちの間には
いろんな衝突が起こることになります。というか、もうすでに起こっているわけで。
その一つの形が、以前の兵士さんとの戦いのような、暴力による衝突です。
むしろ、一揆というのはそうした側面が強いみたいで、進む先進む先で行く手をはばまれています。
ぼくとしては、争いはさけたいと思うのですけれど。
「ええじゃないか」にとっては、そうしたものは、すべて同じ、ただの障害でしかないので。
ただひたすらに前進して、さえぎるものは力ずくで押し通して。道理なんて、通用しないんです。
でも、そういうやり方には、ぎせいがつきものですし。いつかきっと、ひどいことなると、そう思うのです。
争いをさけられないのであれば、ぼくとしても、「ええじゃないか」に勝ち続けて欲しいし。
ひどいことに、なってほしくないと。そう、思ったので。ぼくは、「かみさま」に一つ、おねがいをしました。

他の人には、あまり言わないようにしているんですけれど。
「かみさま」は、ぼくのおねがいを、かなえてくれます。
ただし、おそなえものがないと、かなえてくれませんし。
おそなえものがあっても、かなえてくれないこともあります。
「きょうじゅ」さんにそのことを聞いてみたら、
『奇跡の対価として供物を求めるのは、神格の基本行動だからね。
　君の言うそれが本当の神様ならば、叶えたい願いに対して対価である供物が足りないのだろう。
　もしくは、単純に神格としての力が不足して願いが叶えられないだけなのかもしれないが。』
……と、教えてくれました。
ようするに、あんまりむずかしいことは、おねがいできないみたいです。
今回は、「ええじゃないか」がこれからの衝突でひどいめに合わないように、身につけているものを
つよくしてほしい、というおねがいをしました。
「かみさま」にちょくせつお願いすることはできない（近づくと、消えちゃいますから）ので、
適当な場所におそなえものと、おねがいを書いた紙を置いておきました。
われながら雑だなあと思うんですけれど。これで毎回、うまくいっているんですよね。不思議です。

それからしばらくの間、あちこちを走り回る「かみさま」の姿をいろんなところで見ることができました。
「かみさま」は「かみさま」なのに、すごいちからできせきをおこすとか、そういうことはあまりしません。
なんででしょうか。まあ、「かみさま」というのも、ぼくがそう呼んでいるだけなので
本当は「かみさま」じゃないのかもしれませんけど。それならそれで、なんでねがいごとを叶えてくれるのか。
よくわかりません。一つわかっているのは、「かみさま」はきっと、わるいひとじゃないってことぐらいです。
……まあ、「かみさま」なのに「ひと」というのも変な話ですけど。
ぼくもぼくで、いろんな人にお願いして、「ええじゃないか」を強くしてもらうために必要なものをつくってもらったり。
あとはそれを「かみさま」にお供えして。



その結果が……


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（その後、なんやかんやあって外見に関係ないレベルの強化に落ち着きました。）

新たに現れた男に、スカートの裾をつまみ上げて一礼。