しばらくすると、人の足音が聞こえてきました。
私は一瞬、隠れようかと思いましたが、彼女がその必要はないと囁きました。

現れたのは、私と同じヒトの形をした白髪の男性でした。
長い間日に焼けたためか、真っ黒な肌をしており、深く皺が刻まれた顔は精悍さに満ちていました。
彼はどうやら枯れ枝を拾い集めているようでした。
彼は私の姿を見つけると、おや、という顔をしましたが、すぐに優しく微笑みました。
「お嬢さん、もしかして他の世界から来なさったかな」
私は少し驚きましたが、肯定の意味を込めて頷きました。
「最近多いと聞いてはいたが、こりゃいよいよその時が迫っているのかもしれんな」
彼は深い色の瞳を空に向けて、それからじっと私の眼を見つめました。
「行くところがなければ、私の家に来るかね」

意外でした。そしてこの世界はきっと、私のような容姿の者を変だと思わないくらい、多様な種族が住んでいるのだろうと思いました。
私はなんと答えれば良いのか分からず、戸惑っていました。
「……ひょっとして、言葉を話せないのかな？」
「い、いえ」
ずいぶん久しぶりに声を出したような気がしました。
「言葉は分かりますが、うまく1Yqu1bS+1bG/1bCc0Ley0re41bSz……すみません……」
「うむ……そうか。それでどうするかね？　私は妻と二人で気ままな暮らしをしている。気を使ってもらう必要はないが」
私は嬉しくなりました。
こんな風に再び誰かと話せる日が来るとは思っていなかったのです。
「おねがいします」
こうして私たちは、林の中の家でお世話になることになりました。

きょろきょろと、青年は周囲を見回すのであった。