ただ、ここに来る前の俺様の住処に一緒に住んでて、俺様に食いもんを貢いでいた人間共の一部は、偶にツチグモ様って呼ばれてたな。

丁度その頃…僕らが卒業できるかどうかでばたばたしていた頃に、屋敷の庭に黒い野良猫が住み憑きまして。偶に台所に忍び込んで食材盗ってったりもしたけど、ネズミやゴキブリも退治してくれてたんで麻累母さんも朔位さんも大目に見てましたね。かなちゃんなんか、文字通りべったべたに猫可愛がりしてたし。
…そのせいか人に対する警戒心が薄れて、うっかり出入りの普通の人間の八百屋さんに正体見られたらしくてね。ああ、その黒猫は猫又だったんですけど、僕らは気付かぬ振りして放置してたから…で、パニック起こしたその八百屋さんに猫は蹴飛ばされて、どっか逃げてっちゃったんです。

僕だけじゃなくて、一族の多くはいつか、そうなるんだそうです。妖怪の力が人間としての存在を潰して崩れる時が、いつかは来るって。そうなる切欠と原因は様々だし、全員がそうなる訳じゃないらしいけど。
僕は、父さんの血の働きが強くなりすぎて…崩れたんだね。

本当は、姿を保てなくなった一族のヒトの住む部屋があるからだったのね。住むっていうか、ぶっちゃけ閉じ込めてるだけとしか思えないんだけど。
葛築はまだマシな方なんだってさ。人の姿は崩れたけど、蜘蛛の姿なら実体保っているから。中にはもう幽霊みたいになってたりスライム状だったり…それでも死ねずにずーーーっと…屋敷奥に住んでるんだって。
で、葛築はマシだと言いながら、やっぱり大人達は葛築も奥に閉じ込めて放置してるのよ。酷いよね！朔位さんは戻す当てがあるから、気長に待てって言ってるけど。結局全然葛築のとこには顔出さなくってね。

……うん、本当は蜘蛛の口だと普通に喋る事は出来なくて変なギーギーって音出して会話(?)してるんだけど。なんでかあたしには意味が通じるし。喋ってる感じはいつもの葛築と変わらないし。
不本意で閉じ込められてるんだから葛築だって気分悪いだろうし？蜘蛛の手と目じゃ人の本もゲームも楽しめないから暇だろうし？
あたし日参してました！
朔位さんもあたしが行くコトで葛築の気分も晴れるし、人同士の会話で人としての意識をしっかり保てるからって、葛築んとこに行くのは許可出してくれてね。
会話ったって、その日にあった事とかテレビで見た事とか、ま、たわいもないお喋りよ。でも葛築それで十分楽しそうだったし？
一度、あたしが居ない時は何してんのか聞いたら、寝てるだけだって。他にすること無いしって…
いつまで経っても朔位さんから連絡来ないし。
だんだん葛築の口数減ってくるし。
時々、葛築の姿が…蜘蛛の姿も崩れるように……古いビデオ映像みたいに、崩れるようになって
それでも、あたしが行けば、笑って迎え出てね。

奏撫の身に起った惨状に気付き救助した時は既に遅く、奏撫は人としての霊的要素を喰い荒らされ、身体も同様無残に荒らされた状態であり。
残った身体部位に、奏撫の母親麻累の血縁者である私の血肉と、私の妖力を継ぎ足して仮の身体を創り上げ、そこに狂化混乱している奏撫の魂魄を封じ込めた。
不本意ながら、過去の事象で私の魄には奏撫の父親の魄が混入しているからな。妖力が奏撫の命と適度に馴染み糊の役目となり。
…島に出向いて以降、死霊術ばかり上達するな。

一見治ったかに見える奏撫(仮)は、同族土蜘蛛を見れば恐怖で暴れ、人を見れば己の失った部位を補おうと本能的に襲いかかり。私の留守中に郷に留め置くのはとてもではないが無理であり。
だからと言って奏撫まで奥座敷に封じるのは流石に気が引け。そもそもそんな事は麻累が許さず。
昔、私も世話になった、当主の既知の元へ預けさせてもらった。
というか、預けようとしたらなんぞ渋っているので、無理やり押し付けた。預けさえすれば力の在る御仁だから悪いようにはならんだろう…多分。
その御仁の在所からの出立際に、以前死んだ岩絃を復活させる施術で役立った小娘と偶然再会する。その娘の術力なら奏撫の治療にも役立つだろうと、ついでで奏撫の救助を頼み置き。
奏撫の処遇は一先ずそれで良しとして、私は逃亡者葛築を追いメルンテーゼとやらへ意識を飛ばした。

ちょうど子供と目の高さが同じくらいの位置でしゃがんだ。

A子は葱を指でつついている。

並びたって歩きながら案内していく。
クスクス笑いながらも真面目に案内してほどなく目的地につけるだろう

＼ポキッ／

がくがく振りすぎて葱さんが折れた！

強く振る→折れる。

当然の結果がレーンを襲う！

何ともならない。

　＼　殺葱犯！　／

↑偶然通りかかった、スズメＰＴメンバーの一人、プリムス。

　＼　殺葱犯！　／
大切なことなので二度言いました。

骸骨は　暴れ狂う手を止める　

マントを華麗に翻して、銃をぴったりとポイントする。