彼は二十一歳。私は二十二歳。
　　　　　　　　　　私が少しだけ年上だけど、そうは見えないかもしれない。
　　　　　　　　　　彼のほうが上背があり、成熟している。性の未だ定まらぬ私は未成熟のままだ。

　　　　　　　　　　でもやっぱり彼はまだ仕事盛りよりも遊び盛りのようで、
　　　　　　　　　　血生臭い戦場や駆け引きの事よりも、
　　　　　　　　　　昨日は川で何が釣れただとか、あの武器屋のナイフがかっこいいから欲しいだとか、
　　　　　　　　　　金が無いからブレスベリーはたまにしか飲めないだとか……他愛のない話ばかりがよく弾む。

　　　　　　　　　　或いは、傭兵としての自分を明かしたくないのだろうか。
　　　　　　　　　　開店前の事典亭で杯を手に話してみれば、
　　　　　　　　　　彼は呆れ返るほど楽観的で明るい男だった。ついでに面倒臭がり。
　　　　　　　　　　暗く重苦しい話題など、酒が不味くなるからと一蹴されてしまいそうな空気を纏っていた。
　　　　　　　　　　良い事なのかもしれないけれど。

　　　　　　　　　　とにかく、年下の彼は私よりも、ずっと多くの世界を知っている気がしてならなかった。
　　　　　　　　　　それが少しばかり悔しい。「あなたの行くところに私も連れていけ」と言ったら、彼は嫌がるだろうか？
　　　　　　　　　　だが今の雇い主は私なのだ。一日ぐらいは、無理にでも後について行くつもりでいる。

この日の夜、若者は風夜見鳥の燭台を手に提げ、
砂漠に一夜だけ咲く花を探しに出かけた。
振り子の占いでは「NO」と示されていたが……。

100面ダイスを振り、出目75以上で月下美人を発見。
燭台は夜道を導く。20面ダイスのボーナスを加算。
1D100 = 1 ( 1 ) + 1D20 = 17 ( 17 )

時折岩陰を覗き込んだり、熱気に揺れる地平線を眺めている…。

ヴァルに向かって、抱きつくかの様な雰囲気で両手を上げて走ってくる。
しかしコロは、隙を見て両脇こちょこちょしてくるつもりだ！

手を振って近づいてきたものの、少し手前で立ち止まる。
そして、その場で１、２歩ほど後ろに下がったり、再び数歩前に出たりする。

そう言うと、ヴァルの隣に、宙に浮いた首と足が無い甲冑が現れる。