強さ。
　　　　　　　　　　　　　　参謀ことルリアンナが中心となって催す闘技大会は、
　　　　　　　　　　　　　　それを示す最大のイベントでもあった。

　　　　　　　　　　　　　　私達はと言えば半ば親善と参加賞目的であったのだが、
　　　　　　　　　　　　　　それでも進めるうちに自分達なりに熱も入ってきた。
　　　　　　　　　　　　　　やはり相手に勝つのは楽しい事なのかもしれない。

　　　　　　　　　　　　　　上位陣の試合を一目観戦しようと集まるまなざしは多い。
　　　　　　　　　　　　　　注目を浴びるその中には、
　　　　　　　　　　　　　　酒場の律法チェスで一戦交えたアトラさんやフィリーさん、
　　　　　　　　　　　　　　無類の容赦のなさを持つマシリーさん、美味しいものが好きなリリエッタさん、
　　　　　　　　　　　　　　運か実力か、一敗の差で後に続く中にも、幾人かの見知った顔があった。

　　　　　　　　　　　　　　メルンテーゼにおける戦い方について知識を持っていれば、
　　　　　　　　　　　　　　彼らがなぜ強いのかまでは理解できる。だが真似はできない。
　　　　　　　　　　　　　　それがきっと、決定的な差なのだろうと思った。強さには多様性もあった。



　　　　　　　　　　　　　　単独で数々の将を打ち倒すと評判の彼も、準決勝の中に姿を見せていた。
　　　　　　　　　　　　　　変身を得意とし、混沌とした戦場を守りへの特化と柔軟性で往なしていると聞く。
　　　　　　　　　　　　　　その者の強さが特に好きだと感じていた。
　　　　　　　　　　　　　　いや……強くありながら飄々と、蠅を捕らえぬ鷲のような風格が良いのかもしれない。

相手の微笑に、こちらも微笑みで返した。