私はマコトさんとトウカさんを迎えにいくため水辺を歩いていた。
皆が言うには二人は一緒にいるそうだ。
確かに二人だけ姿が見えなかった。

私たちは水辺で合流し、そこでとても大きなイカに出会った。
今にも襲ってきそうな気持ち悪いイカ。巨大イカに対峙した私たちに一人女の人が加勢してくれた。

無事にイカを倒した私たち。
元々ピクニックをしていたというクローシェさんとその仲間、そして私たち。
倒れた大きなイカを前に、私たちがしたことは火の準備だった。

火といえばメィレーさんはとても上手に火を扱う。
彼女は火を熾し、積極的にイカでバーベキューをした。
どうやら焼きすぎてしまったものを食べながらのようだけど、結構焼きすぎてて忙しそう。
クローシェさんもイカを料理していた。
比べてしまって、彼女は料理がとても上手に見えた。
少しこげたくらいの物から食べていたので、優しさと器用さが見えた気がした。

焼けた足の端っこを貰ってもぐもぐしていると、二人が合流するはずだという話をきいた。
私はもう一つ端のほうの足を貰って迎えに行くことにした。

遠目に二人が歩いてくるのが見えて、私は名前を呼びかける。
二人はとても仲良く並んで歩いていた。
旧知の仲ならそれが普通か。

二人を連れてバーベキュー会場（仮）へと戻る。
相変わらずメィレーさんは焦げたイカを食べていた。好きなのかな？

そういえばと思い出したようにマコトさんとトウカさんに平原で何があったのかと聞いてみる。
メィレーさんも二人に楽しめたかと聞いていた。
何も無かったとマコトさんは言っていたけど、クローシェさんは仲直りといった。
確かに以前森で会ったときはもっと緊迫していた。
でもまあ、それは勘違いとその場の勢いだし、仲たがいとはまたちがうような……。

とにかく何かごまかされた気がしなくもないけど、前に会ったときのマコトさんより元気そうだからよしとしよう。

考えてみたらしばらく会ってなかったんだよなあ。
確かに、一度助けただけの仲だし、マコトさんにとってはそこまで重要じゃないのかも。
少し悲しいけど仕方ないよね。
私も、マコトさんも、今は一緒に行動しているといえるけど、目的は違うんだもん。

満足するまでイカを食べた私たちは、素材になりそうな部位とお弁当になりそうなげそを手に、また一揆のための情報集めを再開した。

どこに調査に行くかという話になり、マコトさんが以前一人で行ったという山にいくことになった。
そういえばいつの間にか姿が見えない人がいるけど、そこはまあ大丈夫そうなので私は特に気にしなかった。

そういえばオコジョという可愛い生き物を見た、とマコトさんが言った。
もしかしたら見れるかもということだった。
可愛い動物、オコジョというのは可愛いのに珍しい、のかな？
会えたらいいなー。

でも山かあ……。初めてかもしれない。
私の住んでいた地域は緩やかな坂しかなく、山は首都の周りやもっと田舎にいかないと無かった。
私も少しは旅をしたけど、あまり移動範囲も広くなかったし、そういった特殊な地形を歩くことは無かったのだ。

とういうことで山に到着。
ここでゲオルグさんとクローシェさんは別の道から登るというので少しだけお別れ。

最初はよかった、むしろ少し楽しかった。
なんか階段を上るのとはまた違う地を踏むサクサク感を楽しんでいた。

けど、けどこれ……どこまで続くの？
目的地はマコトさんが以前登った付近、城を攻めるための手がかりがあればと登っているわけだけど。
足を前に出す距離がだんだん狭くなって、なんていうか足の裏が痛い。
ああこの靴、木とか登るのちょっと便利とか思ってたけど、靴裏がやわらかいせいで石とかつらい。

周り見ると同じくしんどそうにしているトウカさんと、ふわーっと浮いているメィレーさんがいた。
ああ、浮くって楽そう。
私も一応パロロコンを出せばっとおもったけど、めちゃくちゃ大きいんだった。諦めよう。
前をさくさく歩いていくマコトさんに文句を言う。
応援の言葉が聞こえる。元気だなあ。
マコトさんって思ったより体力あったのね。

そういえば、あんまり疲れてるところ見ないなあ。
マコトさんも、お姉ちゃんも、お姉さんもそうだけど、あんまり疲れない人って結構いるのかなあ。


このまま山を越えて城に侵入するより、敵が多そうだけど地下やほかのルートから行ったほうが楽かもしれない……。
私はそう思った。

周り三人がえっちらおっちら歩く中——一人、浮遊。
魔法で浮いて移動している。一人涼しい顔で、かなり楽そう。

両腕でばってんまーくを作る風の子に、しょんもり肩を落としつつ。

ついに口調が砕けてしまった。
しかし次の瞬間には元に戻っている。

この仮面が得体の知れないモノだという事は、契約したその時から知っている。
それを他人が知る由は無い。完璧に擬態しているハズなのだ。
だからこそ、自分を怖がる理由としてはそれしか思い浮かばない。
異世界出身でも、噂を聞く可能性は十分にある。

吐き捨てるように、そう呟いて。

鳥のことならば、それを狩る者が習性に詳しいだろう。
そう判断した案山子の書いた顔文字の疑問符が、貴女に向けられていた。

ひそかに気にしている事らしかった。