世界観移動の術を持たないあたしは、誰かにその手段を提供してもらう必要がある。
恐らく一揆の指導者層…ルリアンナ辺りならば何らかの手段を持ち合わせているものと予想される。
が、一度一揆に参加しておきながら途中で離脱する者に対してそれを進んで提供するかと考えればその様なはずも無い。
締め上げて無理矢理、という事も考えないでもなかったがリスクが大きすぎる。
一揆に積極的な層を纏めて敵に回す恐れがある行動は避けたい。

次いで考え付いたのがこの世界の権力者層。
このまま一揆を進めて新王を打倒し、そのまま帰還…と言うのは却下だ。何時になるか解らない。

…今あたしは、星屑の山の山頂にあるという小さな屋敷に向かっている。
そこに前王の親族が隠れる様に生活している、という噂を耳にした。
丁度良い。権力の座を追い遣られた連中とは言え、情報くらいなら持ち合わせているだろう。
権力者憎しの一揆の連中も、そういう類ならば何をしても文句は無いはずだ。

言質取ったり！としたり顔だ。

警戒されているようなので、距離を取ったまま近付こうとはしない。

頭をさすりながら、根拠という根拠がなく反撃できずに悔しそうだ。

写真の中の金髪の女性をじっとみやる。

写真の女性と目の前の少女を見比べている。

思いがけない状況に、思わず金の延べ棒に手を出し…そうになったが慌ててひっこめた。

そう言うと金の延べ棒からあえて目をそらすような方向を見つつ、何事か思案し始めた。
そして、何かをひらめいたのか笑顔で少女に向き合う。

そう言って、着いてもいない服の埃を払う。

行動ルートを決めかねている…。

そう言って、彼は木気を帯びた剣……という名の杖を抜いて構えた。